>  今週のトピックス >  No.1679
企業の退職金制度の現状
●  8割の企業で中退共を実施
  中退共では、毎年、全国の企業を対象に退職金制度の実施状況を調査している。すでに2007年実施分の結果がまとまっているので、その結果を報告する。
  まず自社に退職金制度があるかどうかを尋ねている。全体の8割近い77.4%の企業が、退職金があると回答している。退職金があるとした企業での退職給付の支払い方法については、80.5%が退職一時金のみ、12.5%が退職一時金と年金の併用である。
  こうした退職給付原資の準備手段として中退共を利用しているのが69.1%で全体の7割、特退共が14.3%、厚生年金基金が10.8%、適格退職年金が9.2%と続く。まったく社外での積立を行っていないのが17.0%である(複数回答)。中退共の実施企業は全国で約38万社もあり、適格退職年金の3万社、総合型の厚生年金基金122基金に比べて圧倒的に多いためである。
●  中退共に対する認知度は今一つ
  一方で、7割が中退共を利用しているものの3割は利用していないが、その理由も尋ねている。その理由は、「現在の準備手段で十分である」が33.6%、「中退共についてよく知らない」が16.3%、「中退共の存在を知らない」が12.1%などとなっている。中退共はすでに50年近い歴史のある制度であるが、まだまだ認知が行き届いていない。
  冒頭で退職金制度の有無を尋ねた際に2割強の企業で退職金制度がないと回答している。退職金制度がない理由については、「退職金制度の必要性がない」が42.6%、「資金的な余裕がない」が40.2%、「給与で還元している」が8.0%となっている。
●  パートタイマーへの退職金はわずか
  次にパートタイマーを対象にした退職金制度について尋ねている。パートタイマーへの退職金制度があると回答しているのは、全体の8.5%に過ぎない。導入していない理由は、「パートタイマーは短期勤務が前提である」が60.8%、「資金的余裕がない」が38.5%、「退職金より賃金引上げが求められる」が19.7%となっており、パートタイマーのニーズに適合していないとしている。
  全体の8.5%がパートタイマーへの退職金制度があるが、その制度内容は勤続年数に応じて支給する形が一般的である。導入理由としては、「長期勤務の報奨」が70.1%、「定着率の向上」が26.6%、「労働意欲の向上」が27.4%と続き、パートタイマーの戦力化が理由となっていることがわかる。
出 所:独立行政法人勤労者退職金共済機構「退職金制度等の実態に関する調査(平成19年度)」
(可児 俊信 (株)ベネフィット・ワン ヒューマン・キャピタル研究所、千葉商科大学会計大学院教授、CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2008.07.28
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