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マンション管理組合に対する課税関係
●  「人格のない社団等」に対する課税関係
  先日、テナントビルの管理組合が、国税局より駐車場収入や広告料収入の申告漏れを指摘された。テナントビルやマンション等の管理組合の課税関係というのはどのようになっているのだろうか。今回は、この点について解説していきたい。
  株式会社等と違い、管理組合の課税関係は少し仕組みが異なる。まず管理組合については、税法上の区分として「人格のない社団等」という法人に該当する(ただし、管理組合法人の場合には「公益法人等」)。町内会やPTAなどもこの区分に該当する。
  通常、株式会社等であれば、全ての所得が法人税の課税対象となるが、「人格のない社団等」の場合、収益事業を営んでいる場合に限り、課税対象となる。収益事業というのは、法人税法において現在34業種が指定されている。例えば、物品販売業、不動産販売業、金銭貸付業、といった具合である。この34業種に該当し、かつ継続して事務所等を設けて行われている事業に限り、法人税の課税対象となる。また、その性質上、収益事業に付随して行われる行為についても、原則として課税対象とされる。
●  管理組合の駐車場収入は収益事業か?
  マンション管理組合の場合、その主な収入は組合費や管理費、修繕積立金等の収入である。これらの収入は、上記の収益事業に該当する34業種に当てはまらないため、法人税の課税対象とはされない。
  では、マンション管理組合等が駐車場収入を得ている場合、法人税の取り扱いはどうなるのだろうか。まず駐車場業は、収益事業の34業種の中に含まれているため、原則は課税対象となる。しかし、次のような要件を満たしている場合には、収益事業に該当しないこととされている。
  (1)駐車場業がマンションの区分所有者を対象として行われていること
  (2)駐車場の敷地はその区分所有者が所有していること
  (3)駐車料金が付近と比較し、妥当であること
  (4)その収入は運営費や修繕積立金の一部に充当されていること
  区分所有者以外の外部の第三者に貸している場合を除けば、通常の管理組合における駐車場収入は上記の要件に当てはまる場合が多い。そのため、多くの管理組合では、上記の取扱いを適用していることと思われる。ただ、この要件は通達等に定められているものではなく、あくまで一般的な見解であるため、ケースバイケースで異なる取扱いになる可能性はある。今回の国税局の指摘が、今後の管理組合の課税関係にどう影響してくるか、注目しておく必要があるだろう。
●  管理組合の駐車場収入に対する消費税
  最後に、今回は話題には上がらなかったが、消費税の取扱いについて触れておきたい。駐車場収入は、通常、消費税の課税取引となる(駐車場の貸付が住宅の貸付に含まれると認められる場合は非課税)。しかし、管理組合が組合員に対して貸し付けている場合には不課税となる。
(村田 直 マネーコンシェルジュ税理士法人)
2008.07.28
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