>  今週のトピックス >  No.1683
急増する確定給付企業年金
●  厚生年金基金の大部分が総合型
  企業年金大改革の年であった2001年には確定拠出年金法と2002年の確定給付企業年金法の施行、厚生年金基金の代行返上の開始があり、その後6年が経過しようとしている。適格退職年金の残存可能期間もわずか3年8カ月となった。
 今から10年前の1998年には1,858件あった厚生年金基金も、代行返上が進んだ現在(2008年7月1日時点)では、従来の基金の形態のまま存続しているのは606件(2008年2月616件、2006年7月時点では651件、2006年1月時点では669件、2004年12月では736件)、606件のうち総合型が499件と大部分を占め、単独型・連合型は合計して107件に過ぎず、ほとんど代行返上を終えたことが分かる。また加入事業所が12.4万もあることから、厚生年金基金はもはや中小企業のための年金といっても言い過ぎではない。
 将来部分だけでなく過去部分の返上も終えて確定給付企業年金に移行した基金が805件。これまで解散した基金が513件で最盛期の1/3近くにあたる(代行返上した後の解散も含む)。最盛期に1,200万人以上いた加入者数も、現在は約479万人と半分以下となった。
●  確定給付企業年金は4カ月で21%増
  厚生年金基金に替わって急増しているのは、確定給付企業年金である。2008年7月時点で3,749件。2008年3月1日では3,099件であったが、4カ月で650件、21%も増えている。そのうち、代行返上によって厚生年金基金から確定給付企業年金に切り替わった件数は上述の805件であるが、それ以外は適格退職年金からの移行などである。確定給付企業年金が普及し始めた当初は、厚生年金基金からの切り替えがほとんどであったが、いまや、基金母体以外の確定給付企業年金が大部分を占めるようになった。それは基金型の確定給付企業年金は612件なのに対して、規約型が3,137件と多いことからも分かる。なお、加入者数は2008年3月現在で506万人である。
 2012年3月で制度が終了することが決まっている適格退職年金は、最盛期は92,467件だったが、2008年3月末時点では32,826件(2007年3月末では38,885件、2006年3月末では45,090件、2005年3月末では52,761件、2004年3月末では59,162件)と、最盛期の半分以下まで減少している。また1,078万人だった加入者数も、現在は443万人とやはり半分以下に減少している。
●  確定拠出年金の普及ペースはやや鈍化
  制度終了後の受け皿の制度としては、確定給付企業年金、確定拠出年金、中小企業退職金共済がある。企業型確定拠出年金は、2008年4月末現在で規約数は2,725件、加入者数は約271万人である(2008年3月末現在)。確定給付企業年金に比べて、最近の普及ペースはやや落ちている。
 また適格退職年金から中小企業退職金共済制度(以下、中退共)に資産が移換された件数は、2008年5月末で14,525事業所、加入者数は約41万人である。 確定給付企業年金、確定拠出年金、中退共は、それぞれ企業年金改革の受け皿として機能を発揮してきた。
出所:企業年金連合会「企業年金の現況」、中小企業退職金共済事業本部
(可児 俊信 ベネフィット・ワン ヒューマン・キャピタル研究所所長、千葉商科大学会計大学院教授、CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2008.08.04
前のページにもどる
ページトップへ