>  今週のトピックス >  No.1691
産前産後の女性社員を支援する社内制度の現状
●  妊婦の通勤緩和措置をもつ企業は全体の3割
  厚生労働省は、毎年女性雇用に関連する調査を行っているが、このたび2007年度の調査結果がまとまったので概要を報告する。
  育児関連の福利厚生制度の整備が企業内で急がれているが、ここでは出産前後期間における制度状況を調査している。
  妊産婦の通院休暇を社内規程で定めている企業は全体の30.6%である。規程がないとする企業は69.0%、不明が0.4%である。
  妊婦の通勤緩和措置に関する規程があるのは、全体の3割近い29.2%である。規程の内訳は「勤務時間を短縮する」が82.0%、「時差通勤を認める」が65.3%、「通勤経路の変更」が11.7%などとなっている。一方で規程を持たない企業も70.4%ある。
●  産前産後休暇は法定どおり
  出産休業については、労働基準法にさだめる産前6週間、産後8週間と同じ休業期間とする企業が全体の93.5%であり、それを上回る社内規程をおく企業は5.0%に過ぎない。出産休業期間中の給与を100%支給するのが全体の16.9%、100%ではないが有給とするのが11.2%、無給とするのが69.9%、不明が2.0%となっている。健康保険で出産手当金が従前の報酬の2/3が支給されるため無給であってもあまり困ることは無い。
  産後休業後育児休業を取得せず直ちに職場復帰した女性は9.5%、そのうちのほとんど(95.0%)は原職復帰している(4.2%は原職相当職に復帰)。
●  短時間勤務は小学校入学まで
  育児期間における短時間勤務等規程を導入しているのは全体の49.5%、規程なしが50.1%である。短時間勤務の期間については法定である「3歳まで」とするのが56.5%、育児休業法の努力義務である「小学校入学まで」とするまで含めれば90.4%にのぼる。残りの8.9%の企業は小学校入学以降も短時間勤務を認めている。
  職場復帰後の育児時間の付与については、法令では1日60分(30分を2回)の育児時間を義務付けている。社内規程上のそれと同様なのが全体の93.8%であり、それを上回る規程をおいているのは4.5%に過ぎない。育児時間を有給とするかどうかは100%支給しているのが24.3%、いくらか支給しているのが11.8%、無給が61.5%、不明が2.4%である。
  妊産婦が相談できる相手としては、所属の上司が48.9%、人事部門の担当者が25.2%、産業医が13.9%、健康管理部門の担当者が10.3%となっており、しっかり専門的な見地で相談できる相手はいないことが分かる。
出所:厚生労働省「平成19年度雇用均等基本調査」(2008年8月)
(可児 俊信 ベネフィット・ワン ヒューマン・キャピタル研究所所長、千葉商科大学会計大学院教授、CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2008.08.18
前のページにもどる
ページトップへ