>  今週のトピックス >  No.1702
北京五輪のメダルに対する報奨金は非課税
●  金メダルに対し報奨金300万円
  8月24日に閉会した北京オリンピックでは毎日、文字通り熱い戦いが繰り広げられた。日本勢は、水泳の北島康介が2大会連続となる金メダル2個を獲得するなど、金9個、銀6個、銅10個を獲得し、大健闘した。
  日本の選手がオリンピックでメダルを獲った場合、JOC(日本オリンピック委員会)はメダルの色に応じて、金は300万円、銀は200万円、銅は100万円の報奨金を贈っている。
  JOCの報奨金支給は、各国の制度に追随して1992年のアルベール冬季五輪から始まった。当時決められた報奨金の額は16年後の今も変わっていない。ただし、当初はいくつメダルをとっても報奨金は1個分だけだったが、1998年に開かれた長野冬季五輪からすべてのメダルに対して贈られるようになった。北島選手は、金2個、銅1個に対し700万円の報奨金が贈られることになる。
●  非課税になったきっかけは水泳の岩崎選手
  ところで、この報奨金の税務上の取扱いは、所得税法の特例で非課税とされる。
  一般に、賞金などは所得税法上「一時所得」に分類され、課税対象となるが、JOCから贈られる報奨金に関しては、租税特別措置法において「オリンピック競技大会において特に優秀な成績を収めた者を表彰するものとして財団法人日本オリンピック委員会から交付される金品で財務大臣が指定するものについては、所得税を課さない」と明記されている。
  このJOCからの報奨金が初めから非課税だったわけではない。1992年のバルセロナオリンピックにおいて、女子水泳200メートル平泳ぎで当時14歳の岩崎恭子選手が見事に金メダルを獲得したが、その報奨金300万円は一時所得として課税された。税額は、一時所得は所得の2分の1が課税されるので諸控除を引いて9万円程度と思われるが、中学生にも課税するのかと問題となり、2年後の1994年から非課税となった。
●  連盟や協会からの報奨金は一時所得
  ただし、非課税となるのはJOCからの報奨金のみで、連盟や協会からの報奨金は一時所得として課税される。今回日本陸連は、報奨金を倍増し、金1,000万円、銀600万円、銅400万円としたが、残念ながら男子400メートルリレーで銅を獲得したにとどまった。
  また、社員として所属する企業からの報奨金は給与所得の対象となる。支給した企業側は損金算入できるが、報奨金を贈られた社員が役員であれば、「規則的に継続して支給される定期の給与」以外の給与として役員賞与となる可能性が高く、会社側も損金算入できないことになる。
(浅野宗玄、税金ジャーナリスト、株式会社タックス・コム代表)
2008.09.01
前のページにもどる
ページトップへ