>  今週のトピックス >  No.1707
雇用の動向
●   女性の方が就職・離職が活発
  企業で人材確保にニーズが高まる一方、景気後退懸念から求人を控える企業もある。そのような状況を反映した平成19年の就職・転職・離職状況を厚生労働省が発表した。
 1年間で入職( 未就業者の就職と既就業者の転職を合計)した労働者は699万人(18年も699万人、17年は748万人)で、前年とほぼ同じ人数の入職となった。一方で離職者は680万人(18年は704万人、17年は756万人)と前年を24万人下回っており、前年に比べて労働移動は落ち着いた状況となっている。また入職者が離職者を19万人上回っていることから19年における雇用状況はよい状況にあったといえる。
 男女別では、女性のほうが男性よりも労働力の移動が活発だ。男性は入職者が346万人(18年は340万人)、離職者が332万人(同335万人)なのに対し、女性は入職者が353万人(同359万人)、離職者が348万人(同369万人)である。これは、雇用状況の変動が比較的大きいパートタイム労働に女性が多く就業している影響と思われる。ちなみにパートタイムでの入職者は280万人(18年は275万人)、離職者は271万人(同262万人)と、入離職者に占めるパートタイムの割合は高い。
●  大企業が労働力を吸収
  企業規模による入職・離職の格差はほとんどみられない。ただし100人以上の規模では入職が離職者を上回っており、99人以下では離職者が入職者を上回っており、規模の大きな企業に労働力が移動していることを伺わせる。
 転職による入職者は454万人(18年も454万人)で、うちパートタイム労働者は160万人(同158万人)を占めている。転職者のうち男性は237万人(同235万人)、女性は217万人(同218万人)だった。
 年齢は若いほど転職率が高い。20〜24歳が16.8%(18年は17.8%)と最も高く、19歳以下が16.1%(同19.9%)、25〜29歳が15.8%(同16.3%)、30〜34歳が11.8%(同12.7%)、35歳〜39歳が9.7%(同9.2%)と続く。
●  若い労働者は個人的理由で離職
  離職者の理由では「個人的理由」が74.3%(18年は72.4%)と最も多く、次いで「契約期間の満了」10.2%(同12.3%)、「経営上の都合」7.4%(同7.3%)、「定年」4.5%(同4.4%)である。
 男性は「個人的理由」「契約期間の満了」に次いで「経営上の都合」が9.1%を占め、「定年」の7.2%を上回っている。女性の離職理由も同じ順で並んでいる。
 年齢階級別では若年層ほど「個人的理由」が多く、50代になると「経営上の都合」が台頭してくる。60代前半では「定年」「契約期間の満了」が6割以上を占め、65歳を過ぎると「契約期間の満了」の割合がほかに比べて高くなる。若い世代では自発的に職を変える動きがみられるが、歳を重ねると会社の都合が大きく影響してくるようだ。
出所:厚生労働省「平成19年雇用動向調査結果の概況」
(可児 俊信 ベネフィット・ワン ヒューマン・キャピタル研究所所長、千葉商科大学会計大学院教授、CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2008.09.16
前のページにもどる
ページトップへ