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連鎖倒産の防止と節税を一気に行う方法
●  中小企業倒産防止共済とは
  今年に入って、不動産業や建設業を中心に大手企業も含めた倒産が相次いでいる。中小企業は連鎖倒産にならないよう、余裕のあるうちから早めに対策を打っておきたいところだ。そういう中小企業におすすめの制度がある。それが「中小企業倒産防止共済」という制度である。この制度は、普段から掛金を積み立てておき、万一取引先が倒産した場合には、掛金総額の一定の範囲内で借入れができる制度で、中小企業基盤整備機構が運営している。

 今回はこの制度について、ご紹介していきたい。この制度には、主に以下の4つのメリットがある。
  1. 掛金は全額経費に計上できる。
  2. 取引先が倒産した場合に、借入れができる。
  3. 借入れは、無担保、無保証、無利子。
  4. 一時借入も可能。
●  掛金月額は自由に選択可能
  まず毎月の掛金についてだが、これは5,000円から80,000円まで、5,000円刻みで自由に選択することができる。そして、掛金総額が320万円になるまで支払っていく。総額が320万円になったら、支払いは終了である。

 例えば、毎月5万円の掛金を支払うと仮定すると、5年強で掛金総額が320万円に達する計算になる。この間、毎年60万円の掛金が発生するが、この60万円は経費として計上できるため、節税にもなる。尚、掛金の月額は、途中で増減することもできる。
●  掛金総額の10倍(3,200万円限度)まで借入OK
  取引先の倒産が発生し、売掛金が貸倒れてしまったという場合には、その時点での掛金総額の最高10倍まで、借入することができる。ただし、掛金総額は320万円が限度なので、借入限度額はその10倍、3,200万円までとなる。この借入については、担保も保証人も利息も不要である。返済期間は5年間で、最初の半年は据置期間となる(ただし、貸付を受けると借入金額の1/10相当額が、支払済み掛金から控除される)。

 もちろん、貸倒れた売掛金等の金額までしか、借入れはできないし、あくまで借入れであるので、当然返済しなければならない資金であることには違いないのだが、そういった非 常事態のときには、非常にありがたい資金になる。
●  中小企業者の要件に注意
  また、取引先の貸倒れが発生しなくても、掛金総額の約80〜100%の範囲内で借入をすることができる(ただし、加入後1年間は借入できない)。万一、解約したくなったときには、1年以上掛金を支払っていれば、上記と同じく、掛金総額の約80〜100%が戻ってくる。

 尚、この中小企業倒産防止共済に加入できるのは、一定の要件に該当する中小企業者のみであるため、注意していただきたい。例えば小売業であれば、資本金5,000万円以下または従業員数50人以下のいずれかを満たすことが要件となっている。

 また、注意点は他にもある。まず、夜逃げ等の場合は貸付対象とならない。掛金納付月数が40カ月未満で解約した場合にも、掛金の全額は戻ってこないため、注意が必要である。加入は、金融機関や商工会議所等で受け付けている。
詳しい要件や注意点は以下のHPをご覧いただきたい。
http://www.smrj.go.jp/tkyosai/qa/index.html
(村田 直 マネーコンシェルジュ税理士法人)
2008.09.16
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