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2007年分民間の平均給与は10年ぶり増加の437万円
●  増加に転じた給与所得者数、給与総額
  2007年1年間を通して民間企業に勤めた給与所得者の平均給与は437万2千円で、前年に比べ2万3千円(0.5%)増となり、1997年以来10年ぶりに増加したことが、国税庁がこのほど発表した民間給与の実態統計調査でわかった。
 「いざなぎ景気」を超え戦後最長となった2002年2月から始まった景気拡大が、やっと給与の増加につながったようだが、2008年はすでに景気後退局面に入り、再びマイナスになるとの見方が強い。
 同調査は、全国の約2万事業所、約30万8千人の数値をもとに推計したもの。調査結果によると、平均給与437万2千円の内訳は、平均給料・手当が前年比9千円(0.2%)増の368万5千円、賞与も同1万5千円(2.2%)増の68万7千円とともに増加した。平均給料・手当に対する平均賞与の割合は昨年から0.3ポイント増の18.6%となったが、ここ5年間は18%台の低水準が続いている。
 男女別の平均給与は、男性(平均年齢44.2歳、平均勤続年数13.1年)が前年比3万5千円(0.7%)増の542万2千円、女性(同43.9歳、9.3年)が同2千円(0.1%)増の271万2千円。なお、1年を通じて勤務した給与所得者総数は4,542万5千人で、前年に比べ1.3%(58万人)増加し、給与総額も198兆5,896億円で、同1.8%(3兆5,743億円)増加と、給与所得者数、給与総額ともに増加に転じた。
●  格差大きい平均給与
  平均給与を事業所規模別にみると、従業員「10人未満」の事業所においては343万円となっているのに対し、従業員「5,000人以上」の事業所では560万円となっている。また、企業規模別にみると、資本金「2,000万円未満」の株式会社においては382万円となっているのに対し、資本金「10億円以上」の株式会社においては614万円となっている。なお、個人企業においては262万円となっている。
 平均給与を業種別にみると、もっとも高いのは「金融・保険業」の691万円、次いで「情報通信業」の630万円、「化学工業」の567万円など。一方、給与のもっとも低いのは「飲食店・宿泊業」の273万円、次いで「農林水産・鉱業」の298万円、「繊維工業」の342万円などとなっている。
 このように、平均給与の事業所規模・企業規模・業種間の格差は大きくなっている。
●  税源移譲の影響で納税額は4年ぶりに減少
  給与所得者4,543万人のうち、源泉徴収で所得税を納税している人は全体の85.4%を占める3,881万人で前年より52万人(1.4%)増加した。また、その納税額は8兆7,575億円、納税者の給与総額に占める税額の割合は4.69%だった。
 納税額(源泉徴収税額)は前年に比べ11.5%(1兆1,350億円)減と4年ぶりに減少に転じた。この納税額の減少は、2007年から所得税から個人住民税への3兆円の税源移譲が行われた影響とみられる。2007年分の所得税から定率減税が全廃となっており、3兆円の税源移譲がなければ、2兆円近く納税額が増えていたことになる。
 なお、給与所得者4,543万人のうち、年末調整を行った者は4,139万人。このうち、配偶者控除または扶養控除の適用を受けた者は全体の41.0%にあたる1,697万人で、扶養人員のある者1人あたりの平均扶養人員は2.09人となっている。
参考資料:民間給与実態統計調査結果の概要は↓
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2008/kyuyo_jittai/index.htm
(浅野 宗玄 税金ジャーナリスト、株式会社タックス・コム代表)
2008.09.29
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