>  今週のトピックス >  No.1733
約6割が「仕事でのストレスがある」
●  職場の人間関係の問題が、一番のストレス原因
  厚生労働省が10月10日発表した「平成19年 労働者健康状況調査」結果によると、仕事でのストレスが「ある」と答えた労働者は58.0%で、前回(平成14年)調査の61.5%より減少した。「仕事でのストレス」がある労働者が挙げた具体的なストレスの内容としては、「職場の人間関係の問題」(38.4%)が高く、次いで「仕事の質の問題」(34.8%)、「仕事の量の問題」(30.6%)の順となっている。
  この調査は、労働者の健康状況、健康管理の推進状況等を把握し、労働者の健康確保対策、自主的な健康管理の推進等を目的として行われているが、メンタルヘルス対策で悩んでいる企業にとって大変参考になるデータといえる。
●  心の健康対策は、「労働者からの相談対応の体制整備」がトップ
  従業員のメンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所は33.6%で、前回の23.5%と比べて増加しているが、まだまだ十分とはいえない数字となった。事業所規模別にみると、『1,000人以上』では9割を超えているのに対し、「100人未満」では5割未満となっている。各企業は、今まさに取組みを検討しているところであるが、特に50人未満のような中小企業では、現状で何から手をつけていいかもわからないというのが本音のようだ。
  心の健康対策に取り組んでいる事業所のうち、心の健康対策の取組内容をみていくと、「労働者からの相談対応の体制整備」(59.3%)が最も高く、次いで「労働者への教育研修・情報提供」(49.3%)、「管理監督者への教育研修・情報提供」(34.5%)の順となっている。
  各企業は、経営陣や管理職向けだけでなく、一般従業員に対しても心の健康問題に関する教育研修などの機会を積極的に設ける必要がある。基礎的なメンタルヘルス対策の知識もない経営者がたくさんいるが、それは大きな経営リスクである。対応を間違えると大きな損害を被る可能性があるということを肝に銘じておきたい。
●  会社に期待することは、「がん検診や人間ドックの受診費用の負担の軽減」
  「健康管理やストレス解消のために会社に期待することがある」とする労働者の割合は68.8%となっている。期待する内容としては、「がん検診や人間ドックの受診費用の負担の軽減」(41.6%)が一番多く、「休養施設・スポーツ施設の整備、利用の拡充」(33.4%)、「健康診断の結果に応じた健康指導の実施」(27.0%)の順となっている
  特に若者は、休養施設・スポーツ施設の整備、利用の拡充を望んでいる人が多いが、過重労働でそもそも利用したくてもそれどころではないという声も多い。まずは職場の雰囲気や人間関係を良くすると同時に、仕事のやり方の改善により労働時間を短縮することが必要である。ワークライフバランスの充実があちらこちらで叫ばれる中で、各企業は過重労働を予防し、メンタルヘルス対策の対応にこれまで以上に真剣に取り組む必要があるといえるだろう。
出所:厚生労働省 平成19年労働者健康状況調査結果
(庄司 英尚、株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
2008.10.27
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