>  今週のトピックス >  No.1741
経営課題のキーワードは、「人材」
●  経営のグローバル化を進める上での最重要課題は「人材」
  社団法人日本能率協会が行った調査結果によると、経営のグローバル化を進める上での最重要課題について尋ねたところ、「海外要員、赴任者の育成」「グローバル化に通用する経営幹部の育成」「グローバルな人材マネジメント体制の構築」など「人材」に関する課題を挙げる声が目立った。
  同協会では、企業の戦略立案や経営課題解決に役立つ情報を提供するため、1979年より毎年、日本企業の経営課題に関する調査を実施している。どの企業でも人材の育成が急務となっており、特にグローバル化を進める上で社員のスキルや人間力の向上は、現地での交渉や折衝などに不可欠である。
●  好業績企業は、「経営の一体感」が高い傾向
  同じ調査において、2008年の経営課題について尋ねてみたところ、第1位は、「収益性向上」(60.8%)となっているが、第2位に「人材強化(採用・育成・多様化)」(40.2%)が挙げられた。これは、企業が人材の重要性を理解している結果であろう。企業において、「人材強化」は「グローバル化」「新商品・新サービス・新事業開発」と並ぶ将来に向けた施策といえるが、こうした施策に関する課題を重視する度合いは、高業績企業ほど強くなっているようだ。
  次に、「経営の一体感」(経営者や現場の相互に信頼感があり、目指すべき方向に向かって一丸となっている)に関してみてみると、「社員や組織が持っている能力」の発揮度合い、ならびに「高付加価値型商品・サービスの開発」における成果度合いが「経営の一体感」の高さと関係しているという結果となった。実際に、高業績企業ほど、「経営者と現場」ならびに「現場の社員相互」において「経営の一体感」が高い傾向となっている
  一方で、「経営者と現場との間」「現場の社員相互の間」は「かなり一体感がある」とする企業が比較的多いものの、「現場の部門相互の間」については25.2%の企業が「あまり一体感がない」と回答しており、まだまだ本当の意味での「経営の一体感」には至っていない現状が読み取れる。「経営の一体感」を高めるための施策としては、「トップによる現場訪問」「経営情報の発信」「社員の意見・提案の活用」が有効であるという結果となっている。
●  「経営の一体感」への取り組みが人材強化への道
  「人材強化」を行うためには、「経営の一体感」が重要であるが、「経営の一体感」を阻害する要因として、電子メールの普及により「フェイス・ツー・フェイスで議論をする機会が減った」(45.5%)、「真意が伝わらず、誤解が生まれることが増えた」(29.9%)という結果や、新入・若手社員の離職率の状況について、4割の企業で「問題あり」という結果がでている。こうした要因に対し、企業は何らかの方策を立てなければならない。例えば、定着率を高めるための施策としては、「メンター制度、ブラザー・シスター制度」「教育研修制度の充実」などが挙げられる。企業を取り巻く環境は刻一刻と変化している。この変化の波に対応していくためには、今まで以上に人材の積極的な強化を行っていかなければならないだろう。
出所:社団法人 日本能率協会
「2008年度(第30回)当面する企業経営課題に関する調査結果」
(庄司 英尚、株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
2008.11.10
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