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値下がりしたゴルフ会員権を売却し税金を減らす
●  値下がりしたゴルフ会員権は泣き寝入りしかないのか!?
  昭和の終わりから平成のはじめにかけて日本列島はバブル期と称する好景気であった。その当時、本来のゴルフプレーを目的とせず、株式投資と同様に、値上がりによる利ざやを稼ぐためゴルフ会員権に投機した人も少なくないだろう。しかし、バブル崩壊と共にゴルフ会員相場は大幅に下落し、その上ゴルフ場経営法人そのものが破綻することも珍しくはないのが現状である。
 さて、バブル当時に購入したゴルフ会員権を、現在は値上がりを期待してではなく、プレー目的で所有している人はそのまま所有すればいい。しかし、そうではなく今後もプレーする予定がない人であれば、思い切ってゴルフ会員権を売却して、税金の還付を受けるという方法もある。
●  ゴルフ会員権売却損を給与所得から差し引く
  所得税法上、個人が所有する高価な宝石、書画、骨董、別荘など「通常の生活に必要でない資産」は「ぜいたく品」とみなして、売却損は他の所得と相殺できない仕組みとなっている。
 しかし、なぜかゴルフ会員権は「ぜいたく品」とはみなされず、給与所得や事業所得などから控除(損益通算)できるのだ。つまり、所得の高い人は値下がりしたゴルフ会員権を売却することにより、その売却年度分の所得税と翌年の住民税を減らすことができる。
●  譲渡所得の計算方法
  ゴルフ会員権売却による譲渡所得は、その会員権の所有期間に応じて次の通りとなる。
(1)所有期間が5年以内(短期譲渡所得)
 譲渡収入−(取得費+譲渡費用)−特別控除額50万円=課税される金額

(2)所有期間が5年超(長期譲渡所得)
{譲渡収入−(取得費+譲渡費用)−特別控除額50万円}×1/2=課税される金額

 この譲渡所得の計算に当り、注意していただきたいことがある。
@所有期間は「取得の日から譲渡の日」までをカウントする。
A短期譲渡所得と長期譲渡所得の両方がある場合には、特別控除額は全部で50万円であり、先に短期譲渡所得から控除する。特別控除前の金額が50万円以下の場合は、その金額が特別控除の金額となる。
Bゴルフ場経営法人が破産した場合などは、譲渡損失に該当しないので損益通算できない場合がある。
C長期譲渡所得に該当する譲渡損を他の所得と損益通算する場合、1/2を乗じる前の金額で損益通算する。
●  取得費に含まれるもの
  ゴルフ会員権の取得費は次により計算する。
(1)購入→購入価額+名義書換料+仲介手数料
(2)相続・贈与→贈与者や被相続人の取得時期および取得費を引き継ぎ、取得者が支払った名義書換料も含む
(3)不明→譲渡収入×5%とする 名義書換料などを含むことはできない
 注)ゴルフ会員権を維持するための年会費等は含めない
●  税務署は目を光らせている!
   ゴルフ会員権を売却し、いったん損を出すがすぐに買い戻す、名義変更をしないなど税金を安くするための見せかけの行為には、税務署は厳しくチェックしている。
 バブル期にゴルフ会員権を購入できるような人は、通常所得が高く、会員権売却損による節税効果は高いと思われる。見せかけの行為と疑われないために、購入の際および売却の際の書類を残しておくことが重要である。
(今村 京子 マネーコンシェルジュ税理士法人)
2008.11.17
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