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経営トップは、自律型人材を求めている
●  団塊世代退職後の優秀な人材獲得競争は、激化
  NTTレゾナント株式会社は、国内の株式公開・非公開企業138社(有効回答者数)の人事・人材育成部門の管理職以上を対象に「企業における人材育成の実態調査」を実施した。
  経営や事業を取り巻く環境変化のスピードが増し、競争が激化する中、企業がさらなる成長を実現していく上で人材が持つ重要性は以前とは比較にならないほどに高まっている。そんな中、企業においては、いかに人材を育成し、経営に貢献できる人材を増やすかという点に関心が高まっている。
  このような背景から今回の調査は行われたが、調査結果から経営トップが求める人材イメージの特徴をまとめると、「課題を明確化でき、解決策を考える」や「目標達成への信念を持っている」などの「自律型人材」が求められていることがわかる。団塊世代の退職後の、優秀な人材獲得競争は、厳しくなっておきておりこのような調査結果は大いに参考になり、積極的に活用すべきものであるといえるだろう。
●  新人研修を集合研修方式で行っている企業が比較的多い
  人材育成のためには研修は欠かせないものとなっているが、今回の調査結果によると研修テーマ別で実施率の高い研修は「新人研修(平均:45.3%)」であり、実施形式別では「集合研修(平均:59.6%)」となっている。
  一方、研修テーマ別で実施率の低い研修は「全員研修(平均:23.6%)」「主任・係長研修(平均:24.5%)」、実施形式別では「eラーニング(平均:20.5%)」「自己啓発=ビジネススクール等(平均:21.7%)」「自己啓発=書籍(平均:24.2%)」となっており、新人研修・集合研修(定型的であり、実施しやすい研修)に偏っている状況がはっきりうかがえる。
  企業側の定型的で実施しやすい研修に偏りがちな気持ちもよく理解できる。研修の実施には、運営側の負担も重く、時間や費用にそれほど余裕がないのも事実だろう。また投資効果がみえにくいことも理由の1つであろう。
  長期的な経営を考えた場合には、研修をコストではなく、人材育成のための投資と考えて中味を工夫して満足度の高いものを実行すべきである。
●  研修終了後のフォローが重要
  実施している研修の満足度については、すべての研修において満足度の平均が50%以下という残念な結果となった。不満要因として「集合研修」「合宿型研修」では、「研修終了後のフォローが不十分」「日程調整等の運営負荷が大きい」といった点があがっている。また「eラーニング」では「カスタマイズが困難」、「OJT」では「研修終了後のフォローが不十分」「研修効果の把握等が困難」などを指摘する声もあった。
  企業の担当者側の意見に限らず、研修を受ける側の不満も明らかになっている。
  現場の不満は実務に沿っていない(「研修効果が不明確(61.6%)」「即戦力の育成に役立たない(44.9%)」「研修内容が不足している(40.6%)」)ことがうかがえ、現場の求めている研修と実際に実施されている研修との間のズレが生じていて、そのズレが不満の原因となっている可能性がある。
  このような調査結果を受けて企業は、どのような人材育成のメニューを企画し実施していけばいいのか悩むところである。いずれにしても最新の情報収集や他社の運用事例などを学ぶことにより、積極的に人材育成に力を入れていかなければならないのは確かではないだろうか。
出所:NTTレゾナント株式会社「企業における人材育成実態調査2008」調査結果
(庄司 英尚、株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
2008.11.25
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