>  今週のトピックス >  No.1755
学卒初任給の状況
●  初任給は前年比1.5%増
  厚生労働省から、2008年の初任給(諸手当含む)の状況が調査・報告された。この調査は毎年行われており、前年との比較で初任給の状況をみてみたい。
  初任給額は大卒で198,700円(2007年195,800円、2006年196,300円、2005年193,900円)であり、前年比では1.5%の増加となっている。大学院修士卒で225,900円(2007年225,000円、2006年224,800円、2005年220,400円)で、これも前年比0.4%の増加となっている。過熱気味の新卒採用を反映して、初任給は引き上げ傾向にある。
  トピックス1711号で報告した類似調査、(社)日本経済団体連合会「2008年3月卒新規学卒初任給調査結果の概要」では、かなり異なる結果がでていた。すなわち、大学卒では事務系が206,969円(2007年は205,074円、2006年は203,230円)であり、引き上げ幅は0.9%となっている。技術系は208,812円である。厚生労働省調査と比べ8,000円以上高い。この差は厚生労働省調査の対象が従業員5名以上の事業所であるのに対して、日本経団連は加盟企業を中心に回答しているため、企業規模による賃金格差が反映しているものと思われる。また厚生労働省調査は、非正社員の初任給も平均値算定に含まれていることも影響している。
  日本経団連調査の大学院卒が224,742円(2007年は223,131円、2006年は221,824円)と前年比0.7%増と、大学院卒については、両調査での差は少ない。これは小規模企業では大学院卒の入社が少ないためと思われる。
●  業種別の最高初任給額は情報通信業
  企業規模別で初任給の額を見てみると、大卒で大企業(1,000名〜)は199,100円、中企業(100〜999名)は199,400円、小企業(10〜99名)は194,400円と、企業規模において初任給に格差が発生している。
  業種別に大学卒の初任給をみると、最も高いのは情報通信業で205,500円と突出している。次にその他サービス業の202,300円、教育・学習支援業の202,200円、卸小売業の201,800円となっている。逆に低い業種は運輸業の185,500円、保険・金融業の190,600円などが挙げられる。業種別に前年との増減を見ると、運輸業は対前年比4.8%減と大きく減っている。
  新卒採用が過熱したこの春であっても、初任給は大きく増えていることはない。
出所:厚生労働省「平成20年 賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況」
(可児 俊信 潟xネフィット・ワン ヒューマン・キャピタル研究所所長、千葉商科大学会計大学院教授、CFP®、
米国税理士、DCアドバイザー)
2008.12.08
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