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税調答申、消費税引上げなど抜本改革の実施時期の明示を要望
●  当面の景気対策は容認も、一定の時限設定など要請
  政府税制調査会は11月28日、2009年度の税制改正に関する答申を公表し、政府が10月に「生活対策」のなかで打ち出した住宅ローン減税や中小企業対策税制など当面の景気対策を容認する一方、年末までに策定予定の「中期プログラム」においては、消費税率引上げを始めとする税制抜本改革の実施時期を明示することを強く求めた。
  答申は、今般の経済情勢を踏まえれば、当面、景気対策を優先することはやむを得ないとの考えを示した上で、こうした財政上の措置は、財政健全化の強い要請や今後の抜本的な税制改革が目指す方向性を阻害することがないように、一定の時限を設けて真に有効かつ適切な形で実施すること、わが国経済の成長力強化にも資する措置とすること、の2点に特に配慮するよう要請した。
  政府が策定する予定の「中期プログラム」については、その策定を通じて税制改革の道筋を明らかにすることは社会保障の安定財源確保と税制抜本改革の具体化に向けた第一歩として重要な意義を持つものと評価した。政府税調は、その策定にあたり、消費税を社会保障の財源と位置づけ、引上げを提言した昨年の税調答申を十分に反映させるとともに、消費税引上げなど税制抜本改革の実施時期を明示することを強く求めている。
●  遺産取得課税方式の検討や親子間の受取配当の非課税を提言
  2009年度税制改革に向けては、相続税の課税方式について、現行の被相続人の遺産総額をもとに課税額を決める現行方式は、(1)同じ額の財産を取得しても税額が異なる可能性があること、(2)一人の相続人等の申告漏れ等により他の共同相続人等にも追徴税額が発生すること、などの問題点を指摘。現行方式を見直し、各人が取得した財産に基づき課税額を算出する遺産取得課税方式に改めることを検討すべきであるとした。
  国際課税については、わが国経済の活性化の観点から、わが国企業が海外市場で獲得する利益の国内還流に向けた環境整備が重要として、現行の間接外国税額控除制度に代えて、外国子会社からの配当について親会社の益金不算入とする制度の導入を提言。同制度導入によって、国内に還流する利益が、設備投資や研究開発、雇用等幅広く多様な分野でわが国経済の活力向上のため用いられることへの期待を示している。
  また、土地に係る固定資産税については、課税の公平の観点に立って、これまで負担水準の均衡化・適正化に取り組んできた結果、地域ごとの負担水準の均衡化は相当程度進展したが、一部には依然としてばらつきが残っていると指摘。このため、2009年度の評価替えを踏まえた今後の税負担のあり方については、これまでの負担調整措置を基本に、納税者の税負担にも配慮しつつ、負担の均衡化・適正化を促進する必要があるとしている。
(浅野宗玄、税金ジャーナリスト、株式会社タックス・コム代表)
2008.12.08
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