>  今週のトピックス >  No.1759
テレワークの現状
●  ワーク・ライフバランスに資するテレワーク
  ワーク・ライフバランスが推進される中で、従業員がもっとも効率的に働ける職場環境の実現が追求されている。フレックスタイムや短時間勤務などの時間的なフレキシビリティだけでなく、働く場所のフレキシビリティも求められている。そのなかで在宅勤務やサテライトオフィスなどのテレワークが注目をあびている。
  テレワークは、1980年代にまずサテライトオフィスとして導入された。1990年代後半になると、情報通信インフラや端末機器の普及に伴い、在宅ワークも現実性を高めてきた。さまざまなメリットが期待できる一方で、企業におけるテレワークの普及はまだまだである。その実態について、厚生労働省の外郭団体が調査した。
  その調査報告書は、テレワークは大きく4種類に分類している。
  まず在宅勤務は2つに分けられ、週3日以上自宅で勤務するものを完全在宅勤務としている。週2日以内の自宅勤務を部分在宅勤務としている。会社での電話連絡とサーバーアクセスができる状態でどこでも仕事ができるものをモバイルワーク、そしてサテライトオフィスなど自宅でも勤務先でもない場所に出勤するものをセカンドオフィスと呼んでいる。
●  テレワーク実施率は数パーセント
  こうしたテレワークはまだまだ普及していない。就業規則で正式にテレワークを認めている企業は調査企業全体の2%程度に過ぎない。規則では明定されていないが、実態的に行われている割合も在宅勤務で3%程度、モバイルワークやセカンドオフィスで5%前後である。一方で「(テレワークを)認める予定はない」企業は全体の6割、「未定」とする企業は3割で普及はまったくこれからという状況である。
  テレワークは向いている職種がある。どの職種に対してテレワークを認めているかを調査しているが、在宅勤務は研究・開発職に認められており、モバイルワーク、セカンドオフィスは営業職に認められていることが多い。
  職種以外にテレワークを認められる従業員の要件としては、完全在宅勤務は育児・介護などの事情を持つ従業員、部分在宅勤務は一定以上の職責の従業員である。モバイルワーク、セカンドオフィスは特に指定されていないという事例が多い。
●  課題点は、勤務管理とセキュリティ
  テレワークしている従業員に対する勤務時間管理の方法については、「情報通信機器を通じて常に通信可能な状態にある」「始業と終了時に連絡する」「定時に連絡する」という方法が多い。テレワークに不可欠な通信費用は、会社が負担している例が多く、携帯やPHS、通信回線使用料、パソコンなどがある。
  一方でテレワークの課題点としては、大きく2つあげられている。「勤務時間の管理の難しさ」と「情報セキュリティの確保」である。在宅勤務に限っては、「仕事の進捗管理が難しい」「評価が難しい」も挙げられている。
  テレワークは、業務の切り分けやコミュニケーションなどの問題をクリアすれば、通勤問題の解消、家事・育児との両立や生産性向上など、雇用労働者が享受するメリットは大きく、また企業にとっても有能な人材の流出を防止し、生産性を高めることが可能となる。
出所:(独)労働政策研究・研修機構「企業のテレワークの実態に関する調査結果」
(可児 俊信 潟xネフィット・ワン ヒューマン・キャピタル研究所所長、千葉商科大学会計大学院教授、CFP®、
米国税理士、DCプランナー)
2008.12.15
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