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速報その1−自民党が平成21(2009)年度 税制改正大綱を発表
●  平成21年度税制改正は1兆円規模の減税
  自民党は12日、来年度の税制改正大綱を発表した。個人、法人とも減税項目が並び、増税はほとんどない改正となりそうだ。今回は、大綱の中から主要な項目をご紹介していく。
  なお、この大綱の内容は、国会を通過するまでは最終決定ではない。
●  法人税は中小企業優遇型
  まず、法人税では、中小企業に対する軽減税率の引き下げが行われた。現在、資本金1億円以下の中小企業に対しては、所得800万円以下の部分に対して22%の軽減税率が適用されているが、その税率を18%に引き下げることとしている。適用されるのは、平成21年4月1日から平成23年3月31日までに終了する事業年度となっており、2年間の時限措置となる。対象は上記の中小企業のほか、公益法人等、協同組合等、人格のない社団等とされている。
  また、現在は設立5年以内の青色申告法人等に限定されている「欠損金の繰戻還付」を、中小企業に限り復活させることとしている。欠損金の繰戻還付とは、当期の赤字を前期の黒字と相殺し、前期に支払済の法人税の還付を受けられる制度のことである。適用は、平成21年2月1日以後に終了する各事業年度において生じた欠損金額から、とされている。対象企業は上記の軽減税率と同様である。
  また、省エネ設備投資を促進するために、平成21年4月1日から平成23年3月31日の2年間に取得等をした一定の省エネ設備等については、事業供用した事業年度において即時償却できることとしている。
  不動産取引を活発化するため、土地売却についても優遇税制が設けられる。平成21年1月1日から平成22年12月31日までに取得した土地(国内に限る)を譲渡した場合に、譲渡年1月1日において所有期間が5年超であれば、土地売却益から最大1,000万円を控除することとしている。これは、個人・法人とも適用対象とされている。その他、平成21・22年中に土地等を先行取得した場合の圧縮記帳制度も新設される。
  国際課税においては、外国子会社配当益金不算入制度が新設される。
●  個人も減税一色に
  一方、個人においても減税項目が並ぶ。まず、住宅ローン控除の控除限度額が大幅に拡大される。平成21・22年居住開始分に限っていうと、通常住宅の場合、年間最大50万円、長期優良住宅の場合には、年間最大60万円に拡大される(控除期間は10年間)。上記金額は所得税から控除され、控除しきれない金額は、総所得金額の5%(最高97,500円)を限度として、住民税からも控除できることとしている。その他自費で長期優良住宅を新築したり、自費で省エネ改修工事、バリアフリー改修工事をした個人にも新たな税額控除制度が設けられる。
  証券優遇税制については、上場株式等の譲渡所得、配当所得ともに、平成23年末までは、現行の10%軽減税率を維持することとしている。また、平成24年からは新たに少額投資非課税制度を設けることとしている。平成24年からは生命保険料控除の見直しも行われる。
  相続税については、取引相場のない株式等に係る相続税、贈与税の納税猶予制度が新設される。予定されていた相続税の抜本的見直しは先送りとされた。
  また、環境負荷の小さい一定の自動車については、自動車重量税や自動車取得税を免除、軽減することとしている。
(村田 直 マネーコンシェルジュ税理士法人)
2008.12.22
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