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来春就職学生の就職内定状況
●  内定率に男女差はわずか
  企業間の人材獲得競争が激しさを増すなかで、年々学生の就職も容易となってきた。厚生労働省は来春の学校卒業者に対する就職の内定状況を定期的に調査しており、このほど本年10月1日時点での状況がまとまった。調査結果は就職が容易になった状況を裏付けているが、調査時点以降に本格化した内定取り消しは反映されていない。
  調査によると、大学生の就職内定率は69.9%であり、2008年4月に就職した大学生の2007年10月時点での内定率を0.7ポイント上回っている。実数でみると、大学卒業予定者54.4万人に対して、就職希望者数は42.0万人、うち内定者が29.4万人である。
  男女別では、男子が69.8%(昨年は70.1%)、女子が70.1%(同68.2%)と、これまで男子の内定率が一貫して女子を上回っていたが、今回は逆転している。ちなみに一昨年は2.4ポイントの差で男子が上回っていた。男子は前年を0.3ポイント下回ったものの、女子は1.9ポイント上回っており、男女とも高い内定率となっている。また国公立では73.2%(昨年は73.5%)、私立は69.0%(同67.9%)であり、国公立優位の内定率となっている。ただ最終的な就職率において差はなく、国公立が97.5%、私立が96.7%であった(2008年4月就職者の実績)。
●  北海道・東北の内定率が低い
  最終的な就職率が9割台であるのに対し、現時点での内定率は7割前後と低いが、今後上昇していく。むしろ前述のように前年同期に比べ高い内定率である。
  気になるのは、地域によって内定率に差があることである。関東地区は73.4%(昨年71.0%)、近畿地区72.3%(同75.0%)、中部地区68.2%(同62.7%)と高いが、北海道・東北地区60.3%(同62.1%)と差が大きい。なお中国・四国地区67.5%(同66.4%)、九州地区65.7%(同65.4%)となっている。 昨年比では、北海道・東北地区と近畿地区で下がっている。
●  短大卒も好調
  一方、大卒に比べて就職内定の出足が遅い短大卒の内定率もやはり改善している。短大卒業予定者は8.4万人、うち就職希望者は6.6万人であり、内定者が2.6万人である。内定率は39.4%(昨年38.5%)と大学卒に比べて低いが、それでも前年を0.9ポイント上回っており、前年以上の出足である。なお最終的な就職率は94.6%(2008年4月の就職率)であり、大学卒に見劣りするものではない。
  2009年の採用については、内定取り消しはあるものの概ね高水準となると見込まれるが、2010年の採用は一転厳しいものとなると見られている。
出所:厚生労働省「平成20年度大学等卒業予定者の就職内定状況調査(平成20年10月1日現在)について」
(可児 俊信 潟xネフィット・ワン ヒューマン・キャピタル研究所所長、千葉商科大学会計大学院教授、CFP®、
米国税理士、DCプランナー)
2008.12.29
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