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平成20年分所得税の還付申告が開始
●  還付申告は1月1日から受付開始
  激動の平成20年が終わり、新しい年、平成21年を迎えた。昨年末には、自民党から税制改正大綱が発表され、その行方も気になるところであるが、新年になり、最も早く始まる税務手続といえば、所得税の還付申告である。通常、個人事業主等の確定申告は2月16日から開始されるが、サラリーマン等の還付申告に限り、1月1日から受付が始まっている。申告書を提出してから還付されるまでにはある程度の期間を要するため、早く還付を受けるためには、できるだけ早く申告書を提出しておきたい。
●  還付申告の対象者
  通常のサラリーマンの場合には、会社が行う年末調整で所得税が精算されているため、確定申告を行う必要はない。還付申告を行う必要があるのは、主に以下のような方々である。
  • 多額の医療費を支払った方
  • 住宅ローンでマイホームを取得した方で、初めて住宅ローン控除を受けられる方
  • ふるさと納税や一定の募金等をされた方で、寄附金控除を受けられる方
  • 平成20年中に一定の災害や盗難等に遭われた方
  • 年末調整で出し忘れた控除証明書等があった方
  • 年金をもらっている方で、申告すれば所得税が還付になる方  など
  医療費は平成20年中に支払った金額が原則10万円を超えていないと、還付申告の対象にはならない。ただし、所得が200万円未満の方については、年間の医療費が所得の5%を超えていれば対象となる。ちなみに、給与収入のみの場合であれば、年間給与が約310万で給与所得が200万円となる。
  住宅ローン控除を初めて受けられる方も還付申告が必要となる(2回目以降の方は年末調整で完了する)。住宅ローン控除の適用を受けるためには、売買契約書、物件の登記簿謄本、住民票などが必要になる。スムーズに還付申告を行うためにも、必要書類は早めに準備しておきたい。また住宅ローン控除は、平成20年12月31日までに居住を開始した方が対象となる。平成20年中に購入したというだけでは、住宅ローン控除は受けられないため、注意していただきたい。なお、平成20年中に居住開始した場合の住宅ローン控除は、控除期間を10年と15年のどちらか有利な方から選択することができる。ただし、いったん選択すると途中で変更することはできないため、慎重な検討が必要となる。
  また、今回から新しく導入された“ふるさと納税”やユニセフ等への募金などをされた方で、年間の寄附金(所得金額の40%が限度)が5,000円を超える方は、寄附金控除を適用することができる。寄附金控除には領収書の添付が必要となるため、こちらも忘れずに用意しておきたい。
  その他、平成20年中に災害、盗難等に遭われた方は、雑損控除の適用を受けられる可能性があるので、自分が適用対象となるのかどうか、早めに確認しておきたい。
  また、年末調整で生命保険料控除などの証明書を提出し忘れた方、扶養控除の申請をし忘れた方なども、還付申告は可能である。サラリーマン以外にも、年金所得者などは還付申告の対象となる。
  なお、還付申告は最大5年間さかのぼって申告することが可能である(いったん確定申告したものは1年間)。これを機に、過去の源泉徴収票、年末調整等を調べ直せば、思わぬ還付金が手に入るかもしれない。
(村田 直 マネーコンシェルジュ税理士法人)
2009.01.13
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