>  今週のトピックス >  No.1776
確定申告で誤りが多い保険関係項目
●  早くも還付申告が開始
  前回もお知らせしたが、通常の確定申告は毎年2月16日から始まるのだが、還付申告については既にこの1月1日から受付が始まっている。
  そこで、確定申告時に誤りやすい保険に関する項目をいち早くお知らせする。
●  入院給付金等は医療費から控除すること
  確定申告で納税者にとって一番なじみのあるのは、やはり医療費控除だろう。この医療費控除とは、平成20年中に支払った医療費が10万円超の場合に、その10万円を超える金額について所得控除の対象となるというものだ(所得が200万円未満の場合には年間医療費が所得の5%超であれば対象となる)。
  ただし、高額療養費、出産育児一時金や生命保険会社・損害保険会社からの入院給付金などで補てんされる金額がある場合にはその金額を医療費の合計から控除する必要がある。ここで、注意してもらいたいのだが、例えば入院給付金がその入院に関する医療費を上回った場合でも、その上回った金額を他の医療費から控除する必要はない。
  また、もし医療費控除の還付申告後に生命保険会社などから入院給付金等をもらった場合には、修正申告書を提出することになる。
●  長期損害保険契約の満期返戻金は一時所得
  個人事業主が、店舗に係る長期損害保険契約に基づく満期保険金を受取った場合、事業所得とすべきか一時所得とすべきかは迷うところだ。答えは長期損害保険契約に基づき受取る満期返戻金については、事業に関する生命保険契約等に基づく一時金とは異なり、事業に関するものであっても一時所得としなければならない。
  また、支払保険料総額のうち既に事業所得の必要経費とした保険料部分については、一時所得の金額の計算上、再度必要経費として控除することはできない。したがって、支払保険料総額のうち積立保険料として資産計上した部分のみ、一時所得の計算上、必要経費とすることができるので注意されたい。

 一時所得の金額=満期返戻金の額−(支払保険料総額−事業所得の計算上必要経費に
             算入した金額−配当等の金額)−50万円
●  生命保険契約の満期と解約による損益は通算できる
  生命保険契約の満期による利益と解約による損失が同一年に生じた場合には、これらを通算して一時所得の金額を計算することができる。
  例えば、満期保険金800万円(支払保険料総額600万円)、解約金100万円(支払保険料200万円)の場合を見てみよう。
 満期保険金  → 800万円−600万円=200万円
 解約金    → 100万円−200万円=△100万円
 一時所得の金額 (200万円−100万円)−50万円=50万円
●  還付申告する場合には、20万円以下の所得も加算して申告する
  給与所得が1か所で年末調整が済んでおり、給与所得および退職所得以外の所得が20万円以下である納税者については、事務手続きの利便性を考慮し確定申告をしなくてもよいとされている。しかし、このような納税者が医療費控除の還付申告をする場合には、給与所得および退職所得以外の20万円以下の所得についても加算して申告する必要があるのでお間違いのないようにしていただきたい。
(今村 京子 マネーコンシェルジュ税理士法人)
2009.01.19
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