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福利厚生費の最新状況
●  福利厚生費は一人当たり月額約2.8万円
  毎年、民間大手企業の福利厚生費を調査している日本経団連から、2007年度の「福利厚生費調査」の結果が報告された。
  まず法定外福利厚生費の金額は、従業員一人当たりの月額換算で27,998円であり、2006年度の28,350円から1.2%減となった。2003年度の27,958円から3年連続の増加となっていたが、4年ぶりの減少である。それでも1992年度調査で2万8千円台に到達して以来、多少の変動はありながらも2万8千円前後の水準を維持している。
  図表1は、27,998円の内訳である。社宅費用や持ち家支援策などの住宅関連費用が全体の半分弱を占めている。次に給食施策や財産形成支援、育児・介護支援といったライフサポート分野の費用が次に多い。さらに疾病予防・健康増進などの医療・健康関連、リラックス・リラクゼーションやコミュニケーションを目的とする文化・体育・レクレーションが続いている。
  2001年度調査までは、文・体・レク費用が医療・健康関連費用を上回っていたが、2002年度以降は逆転している。
●  住宅費用は減少トレンド
  図表2は、内訳のトレンドを追ったグラフである。バブル末期から住宅関連費用が突出し始めたのがわかる。当時は売り手市場の求人マーケットであり、企業はこぞって住宅施策を充実した時期である。ただしバブル崩壊・地価下落後の住宅関連費用は高止まりしたことで、法定外福利費の費用バランスはいびつなものとなってしまった。
  図表3は法定外福利厚生費に占める住宅関連費用の占率の推移だが、2005年度の調査で1989年度以来16年ぶりに住宅関連費用が法定外福利厚生費全体の半分以下となり、今回調査でも48.1%である。企業の住宅制度見直しの努力が日の目をみたことの象徴的な出来事である。福利厚生は育児介護支援、心身の疾病予防などワーク・ライフ・バランスを高めることが目的になりつつある。福利厚生費のポートフォリオを改善することで、原資を捻出しなければならない。当然捻出先は住宅関連費用ということになる。
  法定外福利厚生費は総額では、ここしばらく横ばいが続くとみられるが、その費用配分の内訳はさらに変動し続けると予想される。
出所:日本経済団体連合会「2007年度 福利厚生費調査結果の概要」
(可児 俊信 ベネフィット・ワン ヒューマン・キャピタル研究所所長、千葉商科大学会計大学院教授、CFP®、
米国税理士、DCアドバイザー)
2009.02.02
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