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平成20年分所得税確定申告における改正点
●  住宅の省エネ改修工事等に係る住宅ローン控除
  今年もいよいよ確定申告シーズンが到来した。還付申告は既にスタートしているが、個人事業主等の確定申告が2月16日からスタートする。そこで今回は、平成20年分確定申告において、昨年までとの主な変更点をまとめてお伝えしたい。
  平成20年から新たに「住宅の省エネ改修工事等に係る住宅ローン控除」が新設されている。これは居住者が、自分の居住用家屋について省エネ改修工事等を住宅ローンを利用して行った場合に、その住宅ローンの年末残高の一定率を所得税から控除できる制度である。
  控除対象となる住宅ローンは、1,000万円が限度(特定省エネ改修工事部分は200万円が限度)となり、控除率は特定省エネ改修工事部分が2%、それ以外の省エネ改修工事部分が1%となる。住宅ローンは償還期間が5年以上のものが対象となり、控除期間は5年となる。
  なお、ここでいう省エネ改修工事とは、居室の全ての窓の改修工事やそれと同時に行う床、天井、壁の断熱工事で一定の要件を満たすものとされている。ただし工事費用が30万円を超えないと、この制度の対象とはならない。
  また、現行の住宅ローン控除においても、その対象となる増改築等の範囲に省エネ改修工事が加えられた。こちらは工事費用が100万円を超えた場合に適用がある。当然どちらか一方しか適用はできないため、有利な方を選択することになる。なお、現行の住宅ローン控除は、平成19年より控除期間が10年と15年の選択制になっているため、選択の際には十分に注意したい。
  これは、今年からの改正点というわけではないが、バリアフリー改修工事をしたときの住宅ローン控除も平成19年より新設されている。
●  住民税における寄附金控除の改正
  次に、寄附金控除も今回の申告から改正となっている。ただし、これは住民税における計算が中心となる。いわゆる「ふるさと納税」に対応した改正である。改正前の寄附金控除は、所得税、住民税とも所得控除形式であったが、それが今回の申告より住民税のみ税額控除形式に改正された。対象となる寄附金のうち、5,000円を超える部分の一定率を住民税から直接控除することとなる(総所得金額等の30%が限度)。所得税の確定申告をされる方は、確定申告書の第二表に、その旨の記載が必要であるため、注意していただきたい。
●  医療費控除にメタボ検診による特定保健指導を追加
  また、医療費控除の範囲にも変更がある。昨年4月より、いわゆる「メタボ検診」が始まったが、そのメタボ検診で異常が見つかった方がその後特定保健指導を受けた場合、自費で負担した費用(検診費用含む)については、医療費控除の対象となる。なお、検診で異常が見つからなかった方についての検診費用は対象外となる。
●  減価償却の“5年均等償却”開始
  最後に減価償却においては、取得価額の5%に達した資産を、その翌年から1円になるまで5年間で均等償却するという改正が、今回の申告から適用となる。事業所得や不動産所得で減価償却資産を所有されている方は、計算に十分注意していただきたい。
(村田 直 マネーコンシェルジュ税理士法人)
2009.02.09
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