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民間住宅ローンの利用者の状況
●  住宅ローンは金利の安さで選択
  住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)では、年2回、民間住宅ローン利用者の実態調査を行っている。このたび2008年度の2回目の調査結果がまとまったので報告する。
  昨今、民間金融機関の努力によって住宅ローンが多様化し、ローン利用者にも選択肢が増えた。現在利用している住宅ローンを利用するに至ったきっかけをたずねる(複数回答)と、住宅販売業者から知った(61.4%)ほか、金融機関の店頭で知った(24.0%)、インターネット(19.4%)で知った、の3つに集中している。やはり物件を紹介した業者経由でローンを利用することが多いようだ。その際、そのローンを選択した理由(3つまで選択)としては、「金利が低かった」(72.3%)、「住宅販売業者の勧めがあった」(31.8%)、「諸費用が安かった」(21.3%)、「住宅販売業者との住宅ローンの特約があった」(17.4%)などと続く。当然だが金利が低いのが第一条件で、それを業者が勧めて来ればそのローンに決定するようだ。
●  固定金利選択型が半数を占める
  その結果、選んだ住宅ローンの金利は、「固定金利選択型」が47.1%と半数を占め、「変動金利型」(一般に半年ごとに適用金利が見直され、5年ごとにそれを反映して返済額を見直すローンをいう)が35.7%、「全期間固定金利型」が少なく17.3%となっている。リーマンショック以降、金利の先高感が薄れたため、全期間固定金利型が減少し、その分変動金利型が増えている。固定金利選択型の固定金利期間については、「10年」が47.1%のうち28.5%と6割を占める。「3年」が7.4%、「5年」が5.4%と固定金利期間が短いものも多い。
●  高年収世帯は全期間固定型を選択
  利用者の属性と選んだ金利の関係をみると、全期間固定金利型については、年収が高い世帯ほど選択する傾向にある。全期間固定金利型を選択した世帯のうち年収1,000万円超の世帯が17.7%を占めている。変動型では10.8%、固定期間選択型では8.4%にとどまる。世帯年収が高いほど目先の返済額の少なさではなく返済額の安定性を重視するようだ。
  また利用者の当面の金利見通しも関係があり、金利が今後1年間で「上昇する」とみている利用者は変動金利型では17.3%と少ない。一方「全期間固定金利型」利用者では32.0%、「固定期間選択型」では31.5%となっている。
  また利用者の年代別に見ると、50歳代の33.3%が「全期間固定金利型」を選択しているが、20歳代では15.2%、30歳代でも16.1%と少ない。これは世帯年収とも関係していると思われる。
出所:独立行政法人住宅金融支援機構「平成20年度 民間住宅ローン利用者の実態調査(第2回)」
(可児 俊信 ベネフィット・ワン ヒューマン・キャピタル研究所所長、千葉商科大学会計大学院教授、CFP®、
米国税理士、DCアドバイザー)
2009.02.23
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