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確定申告で差を付けるためのワンポイント
●  たかが扶養控除と侮ることなかれ
  確定申告では、知っているかいないかで、税額が大きく変わってくることがよくある。今回は、「確定申告で差を付けるためのワンポイント」と題してお届けする。
  まず意外に侮れないのが、扶養控除等の人的控除関係である。人的控除としては、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、障害者控除、寡婦(寡夫)控除が挙げられる。これらの所得控除は、確定申告をする方なら毎年当たり前のように適用している項目なので、あえて見直しをせずに、昨年通りに申告、というケースも多いのではないだろうか。これらの項目に限ったことではないが、必ず同じような項目でも、昨年と変化がないかどうかの確認はしておきたい。
  扶養控除は同一生計親族で、所得38万円以下というのが大原則であるが、「同一生計」というのは「同居」とは限らないし、「所得」というのは別に「給与所得」とも限らない。つまり、別居していても仕送り等をしていれば「同一生計」となる可能性はあるし、年金や個人事業主、その他何であれ、「所得38万円以下」であればOKである。青色事業専従者の場合には、原則扶養控除の対象とはできないが、業績不振等で全く事業専従者給与を支払っていない場合には、扶養控除の対象とすることができる(配偶者控除も同様)。
  扶養親族に上場株式等の配当所得がある場合には、申告不要を選択した場合には扶養親族本人の所得には含まれないが、総合課税を選択した場合には、その本人の所得に含まれてしまうので、そのあたりも注意したい。
  また、夫婦共働きで扶養親族が複数いる場合には、どちらの扶養控除とするのかもよく考えたい。基本的には所得の多い方で控除を受けるのが有利だが、住宅ローン控除等がある場合にはそうとは限らないケースもある。
●  寡婦(寡夫)控除は性別により要件が違う
  配偶者控除については、給与収入のみなら103万円以下の場合に適用があるが、103万円を超えていても、141万円未満なら配偶者特別控除の適用が受けられる。
  最近は離婚する方も増えているので、寡婦(寡夫)控除も忘れず適用しておきたい。寡婦控除は女性だけでなく、男性にも適用がある。ただし、女性の場合には離婚または死別、扶養親族あり、という2つの要件を満たせば所得に関係なく27万円の所得控除が受けられるが、男性の場合には、同様に27万円の所得控除を受けるためには、上記の要件プラス所得500万円以下という要件を満たす必要がある。なお、女性の場合には、離婚または死別しており、所得500万円以下なら、扶養親族がなくても27万円控除の適用が受けられ、離婚または死別、所得500万円以下、扶養親族ありの3要件を満たすと35万円の所得控除が受けられるが、男性の寡夫控除には35万円の所得控除はない。
●  医療保険関係控除は扶養親族とセットで考える
  人的控除以外では、医療公的保険・民間保険関係の所得控除がある。医療費控除、社会保険料控除、生命保険料控除、旧損害保険料控除、地震保険料控除である。
  上記の扶養控除の見直し等で扶養控除対象者が増えた場合には、必ずその増加した扶養控除対象者の医療保険関係控除で、ご自身の確定申告において計上できるものがないか、再確認しておきたい。医療費控除、社会保険料控除については、同一生計親族が負担すべきもので、自分が負担したものは対象となる。
(村田 直 マネーコンシェルジュ税理士法人)
2009.02.23
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