>  今週のトピックス >  No.1798
「国の借金」は再び増加に転じ、昨年12月末で846兆円
●  国と地方を合わせると1,000兆円を超える借金
  財務省は2月10日、2008年12月末時点での国債や借入金などを合計した「国の借金」は846兆6,905億円となったと発表した。前回発表の昨年9月末時点から3兆4,111億円増加、1年前の2007年12月末時点からは8兆6,855億円増えた。一方、地方が抱える長期債務残高は2008年度末で約197兆円と見込まれており、国と地方を合わせた借金は、重複分34兆円を差し引いても1,000兆円台を突破する。
  国の借金は財務省が四半期ごとに公表しているが、2008年3月末に過去最高の849兆2,396億円に達して以降、減少が続いていたが、12月末時点では再び増加に転じた。これは、昨年10月末に成立した2008年度第一次補正予算で経済対策の財源確保のため、国債を増発した結果、12月末時点では9月末に比べ3兆8,092億円増の545兆4,542億円に膨らんだのが主因となっている。
  昨年12月末時点の国の借金は、1年前に比べ、国債は約2.9兆円増の681.6兆円で全体の約80%を占めた。うち普通国債が約10.9兆円増の545.5兆円とほとんどを占め過去最高となった。財政投融資特別会計国債は約7.8兆円減の133兆円だった。国債以外では、借入金は1年前から約0.8兆円減って56兆円、政府の一時的な資金繰りに充てる政府短期証券は同約6.6兆円増えて108.9兆円となっている。
●  国民1人あたり約663万円の借金
  この「国の借金」846兆6,905億円は、2009年度一般会計予算案の歳出総額88兆5,480億円の約9.6倍、同年度税収見込み額46兆1,030億円の18.4倍である。年収500万円のサラリーマンが9,200万円の借金を抱えている勘定だ。
  われわれの一般家庭であればとっくに破産している。どれぐらい危機的な状況にあるかお分かりいただけただろうか。もっと分かりやすくいえば、わが国の本年1月1日時点での総人口1億2,765万人(総務省統計、概算値)で割ると、国民1人あたり約663万円の借金となる。これは、赤ちゃんや子ども、ご老人など未就業者を含めての数字である。おまけにこのサラリーマンの家計は年間約960万円の収入が必要なのに、不足分の460万円は借金で賄っている状況だ。
●  遠のきつつある財政再建の道
  財務省によると、新規国債発行額は、2008年度(実績見込み)まで4年連続で減少してきたが、2009年度は経済対策の財源を確保するため一転、前年度から8兆円増の33.3兆円を発行する予定だ。国債発行額の実績ベースの過去最高値、1999年度の37.5兆円と比べると約4兆円少ないが、それでも33兆円を超える新規発行が必要な状況にある。
  他方、景気悪化の影響で企業業績の落込みが大きく、税収の大幅減少が見込まれており、さらに国の借金が膨らむことが予想される。財政再建の道は遠のきつつある。
  国民の一人ひとりがこのような危機的な状況を十分に認識して、税金にもっと関心を向け、また、税金のムダ遣いに厳しい目を持つことが必要ではないのだろうか。
(浅野宗玄、税金ジャーナリスト、株式会社タックス・コム代表)
2009.02.23
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