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86%が「非常に不安」、若者を中心に広がる医療費に対する不安
●  厳しい雇用・経済情勢を色濃く反映
  NPO法人の日本医療政策機構が2月25日、「日本の医療に関する2009年世論調査(概要第二版)」の結果を発表した。2009年1月に全国の20歳以上の男女1,650人に対し、調査員による訪問留置きで行われた調査(有効回答数1,016人)で、今年は特に最近の雇用・経済情勢などを色濃く反映した結果となっているようだ。
  医療制度についての全般的な満足度は60代で66%、70代で70%が満足と回答、他の年代を大きく上回った。個人が支払う医療費についても70代以上の満足度が最も高かった。
  一方、医療に対する不安については、「必要なときによい医療を受けられない」(80%)、「深刻な病気にかかったときに医療費を払えない」(86%)のいずれの項目においても、2年前の調査結果を大きく上回った。中でも、医療費に対して「非常に不安」と答える人の割合は2年前と比べて14ポイント増の86%となり、国民の間で医療費の支払いに対する不安が高まっていることがわかった。
  これを年代別に見ると、「非常に不安」と答えた人の割合は「20代」「30代」などの若い年代ほど高い傾向にあった。2年前と比較すると、20代で約1.7倍、30代では約2.4倍と大幅に増加している。また職業別にみると「非正規雇用」で最も高く、2年前と比べて約1.7倍となっている。
  最近の厳しい雇用・経済情勢などの世相を色濃く反映し、20代、30代の若年層やパート・アルバイトの非正規雇用者を中心に医療費に対する不安が広がり、不況の影響をうかがわせる結果となった。
●  負担増に一定の理解も「生活が苦しい」
  医師不足については国民の59%が身近な環境で医師不足を感じており、自由記述のコメントからも、医師不足について対策を求める声が多く寄せられていた。
  一方、これらの解決のための負担増の是非について「医療従事者の数を増やすために、税金や保険料、窓口で払う医療費等、負担を増やしてもよいと考えますか」との質問に対し、「反対」「どちらかといえば反対」を合わせ全体の68%が反対した。
  その理由として「足りないから値上げをして国民の負担を増やすのではなく、その前に税金の使い方を再考して無駄をなくすことが先決」(40代男性、公務員)など、政府の無駄遣いや使途の不明瞭さを指摘する意見が目立った。
  また、社会保障目的の消費税増税については59%が、医療費目的のたばこ税増税については64%が賛意を示した。
  なお、医療や社会保障の財源確保のための負担増に関する自由記述コメントついて、「医療従事者の数を増やしてもっとゆとりのある治療をすることができるのであれば、多少の負担増はやむを得ないと思う」(60代男性、無職)など負担増への理解を示すコメントや「生活が苦しいので、これ以上負担できない」(60代男性、自営業)、「従事者の数を増やすためにというのはよくわかるけど、実際、窓口での支払いが増えるのは苦しい」(20代女性、主婦)など、生活不安を訴える声が目立つ。医師不足やそれに伴う救急医療、産科・小児科医療などの問題や、医療従事者が置かれた厳しい状況に対する国民の理解が進んでいる一方で、生活の苦しさ、負担増の厳しさを訴える声も増加しており、ここでも最近の厳しい雇用・経済情勢が色濃く反映されている。
2009.03.09
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