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米株12年ぶりの安値更新、日本株には「4月暴落説」
●  米失業率、25年ぶりの水準に悪化
  3月5日のニューヨーク株式市場ではダウ工業株30種平均が6,600ドルを割り込み、約12年ぶりの安値を更新した。格付け会社が4日に米大手銀の格付けを引き下げ方向で見直すと発表。これを受けて米大手銀シティグループの株価は1ドルを下回るなど、銀行株の下げが相場を主導した。年次報告書で「事業継続能力に疑念がある」と記したゼネラル・モーターズ(GM)も株価が急落。米国は今まさにバブル崩壊の様相を呈している。
  米労働省が6日発表した2月の雇用統計によると、失業率は8.1%となり、1983年12月以来、約25年ぶりの水準に悪化した。非農業部門の雇用者数は昨年12月が、68万人減に修正され、約59年ぶりの大幅な落ち込みだったことも明らかになった。今後、GMをはじめとする自動車産業で連鎖破綻が起きた場合、失業者数がさらに増える可能性もある。
●  日本株は踏みとどまっているが…
  一方、日本株は日経平均株価が10日にバブル後最安値(7,054円)を付けたが、7,000円台に踏みとどまっている。東京証券取引所が発表する「投資主体別売買動向」によると、外国人の売り越しは7週連続と相変わらずだが、これに買い向かっている勢力がある。日本の年金基金だ。
  年金は企業や加入者から掛け金を集め、あらかじめ決められた資産構成で運用している。株価が下がると株式の比率を維持するために、信託銀行を通じて買いを入れる。投資主体別売買動向で「信託銀行」は8週連続で買い越している。銀行や企業の決算期末を3月末に控え、公的年金が株を買っているという観測もある。
●  日経平均7,000円割れも
  ただ、こうした「年金の日本株買い」は長続きしないという声が市場では多い。年金基金の多くは4月に新年度が始まると、資産配分の比率を見直す。実績の悪い株の比率を下げ、価格が堅調な債券の比率を上げる年金が増える可能性が高い。唯一の下支え役であった年金基金が横並びで株の比率を落とせば、株価が急落するおそれがある。これが「4月暴落説」の根拠だ。
  年初の「今週のトピックス1778」で指摘した通り、2009年の世界経済は一言で言えば「世界同時大不況」であり、日本がバブル崩壊後に経験した「デフレスパイラル」や金融機関の「貸しはがし」、不動産不況や企業のリストラが世界規模で一斉に襲ってくる。1月の時点で予想した日経平均の7,000円割れは目前に迫っている。
(この原稿は3月10日に書かれたものです)
2009.03.16
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