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改正雇用保険法が成立 非正規労働者の支援強化へ
●  雇用保険の適用基準を「1年以上の雇用見込み」から「6カ月以上の雇用見込み」に
  昨年秋ごろからはじまった経済不況は、ここにきてますます悪化し、大量の非正規労働者等が、雇い止めなどにより次々と失職している状況である。この3月末にも大量の失業者が生まれており、深刻な社会問題となっている。 このような環境の中で雇用保険法の改正について議論を重ねてきたが、3月27日に非正規労働者の救済を狙った改正雇用保険法が参院本会議で可決、成立した。改正の目玉となるのは、適用範囲を雇用見込み期間「1年以上」から「6カ月以上」に短縮し、加入対象を増やしたこと。当初は、4月1日から施行予定であったが1日前倒しして施行日は3月31日とし、年度末に大量に発生する雇い止めされる労働者の救済を目指すこととした。
●  雇用保険料率の変更により、労使ともに負担軽減
  今回の雇用保険法の改正についてポイントを絞ってまとめてみると次のとおりとなる(平成21年3月31日施行分)。
1 労働契約が更新されなかったため離職した有期契約労働者について
      (1)受給資格要件を緩和: 被保険者期間12カ月→6カ月(解雇等の離職者と同様の扱い)
      (2)給付日数を解雇等による離職者並みに充実(3年間の暫定措置)
      (3)雇用保険の適用基準である「1年以上の雇用見込み」を「6カ月以上」に緩和し、適用範囲を拡大
2 再就職が困難な場合の支援の強化
        解雇や労働契約が更新されなかったことによる離職者について、年齢や地域を踏まえ、特に再就職が困難な場合に給付日数を60日分延長(例えば所定給付日数が90日の場合→150日)
3 安定した再就職へのインセンティブ強化(3年間の暫定措置)
      (1)早期に再就職した場合に支給される「再就職手当」の支給要件緩和・給付率の 引上げ(給付率について、30%→40%または50%)
      (2)就職困難者(障害者等)が安定した職業に就いた場合に支給される「常用就職支度手当」について対象範囲を拡大(年長フリーター層を追加)・給付率の引上げ(30%→40%)
4 雇用保険料率の引下げ
        失業等給付に係る雇用保険料率(労使折半)を平成21年度に限り、 0.4%引下げ(1.2%→0.8%)
        ※なお上記の改正により、雇用保険率は、次のとおりとなる。
平成21年4月からの雇用保険料率 
保険料率 事業主 被保険者
一般事業 11.0/1000 7.0/1000 4.0/1000
農林水産・清酒製造事業 13.0/1000 8.0/1000 5.0/1000
建設の事業 14.0/1000 9.0/1000 5.0/1000
(庄司 英尚 株式会社アイウェーブ代表取締役、
庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
2009.04.06
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