> 今週のトピックス > No.1822 |
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2009年度税制改正法が成立、附則に消費税増税を明記 | ||||||||
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![]() ● 総額1兆円規模の個人・法人減税
2009年度税制改正関連法案は3月27日、予算案とともに衆院本会議において与党の3分の2以上の賛成多数で再可決・成立した。憲法59条の規定により、衆院で可決し、参院でこれと異なった議決をした法律案は、衆院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときは法律となる。昨年は「みなし否決」で、今年は衆院の優越規定でともに再議決され、2年連続の再可決となった。
2009年度税制改正法は4月1日から施行されるが、過去最大規模の住宅ローン減税、中小企業の法人税の軽減税率を2年間18%に引下げや、欠損金の繰戻し還付を設立5年超の中小企業にも拡大など、悪化する景気の刺激策を最優先して、国・地方を合わせて1兆円規模の個人・法人減税となる。欠損金の繰戻還付は、2月1日以降終了する事業年度からの適用となり、減税効果が早めに出るようにする。 ![]() ● 経済状況の好転を前提に消費税増税
また、改正法の附則には、経済情勢を好転させることを前提に、2011年度までに消費税増税を可能とする文言が明記された。
附則において、政府は、基礎年金の国庫負担割合の2分の1の引上げのための財源措置や年金、医療、介護の社会保障給付および少子化対策に要する費用の見通しを踏まえつつ、2008年度を含む3年以内の景気回復に向けた集中的な取組みにより経済状況を好転させることを前提として、遅滞なく、かつ段階的に消費税を含む税制の抜本的改革を行うため、2011年度までに必要な法制上の措置を講ずるものとした。 さらに、税制抜本改革の基本的方向性を示し、消費課税については、消費税の全額が制度として確立された年金、医療、介護の社会保障給付や少子化対策に要する費用に充てられることが予算および決算において明確化されることを前提に、消費税の税率を検討すること、その際、複数税率の検討等の総合的な取組みを行うことにより低所得者への配慮について検討することとして、消費税増税の可能性を明記した。 ![]() ● 法人の実効税率の引下げも検討課題
個人所得課税については、各種控除および税率構造を見直し、最高税率および給与所得控除の上限の調整等により高所得者の税負担を引き上げるとともに、給付付き税額控除の検討を含む歳出面も合わせた総合的な取組みのなかで子育て等に配慮して中低所得者世帯の負担の軽減を検討すること、ならびに金融所得課税の一体化をさらに推進することとされた。
また、法人課税については、国際的整合性の確保や国際競争力の強化の観点から、社会保険料を含む企業の実質的な負担に留意しつつ、課税ベースの拡大とともに、法人の実効税率の引下げを検討することも盛り込まれている。
などの税制抜本改革の基本的方向性が示された。
![]() (浅野宗玄 税金ジャーナリスト株式会社、タックス・コム代表)
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2009.04.06 |
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