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人事・経理担当者は必読
新入社員にかかる費用と税務のポイント その1
●  社員が入社した場合に必要な費用
  新入社員を迎えられるということは、会社にとって大変喜ばしいことである。その一方で、人事・経理担当者にとっては多忙な時期ともなる。
  そこで、今回および次回は社員が入社した場合にかかる費用とそれに係わる税務の取扱いについて説明する。今回はその1として、「通勤交通費」と「制服」についてお送りする
●  通勤交通費を支給する場合のポイント
  入社式の日というのは、新入社員が会社に慣れてもらうための自己紹介と書類手続きで終わることが多い。その書類は会社により異なるが、どこの会社にも存在するのが通勤交通費申請書だろう。
  ご存じのように通勤交通費は所得税法上、一定限度額まで非課税である。そして、非課税限度額を超えて支給する分について給与所得となり、給与の額に上乗せして所得税の源泉徴収を行うことになる。
  さて、通勤交通費といっても公共交通機関を利用する場合とマイカーなどを使用する場合では、非課税限度額が異なっているので注意が必要だ。
  まず、電車やバスなどの公共交通機関を利用する場合の非課税限度額は、経済的で最も合理的な経路で通勤した場合の通勤定期券などの金額で、上限は1カ月当たり10万円となる。ちなみに新幹線通勤の場合は、運賃等は非課税の通勤交通費となるが、グリーン料金などは除かれる。
  次に、公共交通機関のほかにマイカーや自転車などを使って通勤している場合の非課税限度額は、(1)と(2)の合計額となるが、上限は1カ月あたり10万円となる。
    (1)  公共交通機関を利用する場合の1カ月間の通勤定期券などの金額
    (2)  マイカーや自転車などを使って通勤する場合の1カ月当たりの非課税限度額
マイカーなどで通勤している人の非課税となる1カ月当たりの限度額の表
片道の通勤距離 1カ月当たりの限度額
2キロメートル未満 (全額課税)
2キロメートル以上10キロメートル未満 4,100円
10キロメートル以上15キロメートル未満 6,500円
15キロメートル以上25キロメートル未満 11,300円
25キロメートル以上35キロメートル未満 16,100円
35キロメートル以上45キロメートル未満 20,900円
45キロメートル以上 24,500円
                                  (国税庁HPより)
  ただし、片道の通勤距離が15キロメートル以上の人は、公共交通機関による通勤定期券などの金額が上限となる。

  上記の表から分かるように、自転車通勤のパートさんで片道の通勤距離が2キロメートル以上10キロメートル未満に該当する人に、1カ月4,100円までを通勤交通費として支給しても非課税所得となる。なお、これは役員にも適用できる。
●  制服を支給する場合のポイント
  会社から制服を支給する場合にも注意すべきことがある。事務服や作業着または会社の名前が入っており明らかに勤務時間しか着用できないような制服であれば問題はないが、普段も着用できるようなスーツの場合には現物給与とみなされてしまうことがあるのだ。これを避けるには、会社の名前などを入れて一目でその会社の社員と分かるようにするのも一考だ。

  次回は、「食事を支給する場合」「社宅を提供する場合」「レクリエーションを行う場合」のポイントをお送りする。
(今村京子 マネーコンシェルジュ税理士法人)
2009.04.13
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