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住宅取得の贈与税軽減など経済危機対策関連法案を国会提出
  政府は4月27日、経済危機対策(追加経済対策)を実施するための総額15.4兆円にのぼる2009年度補正予算案と税制面での措置を盛り込んだ「租税特別措置法の一部を改正する法律案」を臨時閣議で決定し、国会に提出した。
●  住宅取得のための時限的な贈与税の軽減
  租税特別措置法の一部改正法案では、住宅取得等のための時限的な贈与税の軽減として、今年1月1日から来年12月31日までの2年間に限定して、実父母や実祖父母などの直系尊属から居住用家屋の取得等に充てるために金銭の贈与を受けた場合には、その期間を通じて500万円まで贈与税を非課税とする。
  この特例は2年間の時限措置だが、仮に2009年にこの非課税措置を受けた金額がある場合には、翌年はその金額を控除した残額が対象となる。対象となる住宅用家屋は、新築・中古住宅の取得のほか、増改築(費用は100万円以上)についても適用され、いずれも取得等した翌年3月31日までに居住するか、居住することが確実と見込まれることが要件となる。
  この特例は、暦年課税(非課税枠:年110万円)または相続時精算課税の従来の非課税枠(住宅の場合3,500万円)にあわせて適用できる。最終的には暦年課税であれば610万円、住宅取得に係る相続時精算課税では4,000万円まで非課税枠が拡大されており、国土交通省の試算では年間2,800億円程度の住宅投資の効果が見込まれている。
●  中小企業の交際費の損金算入特例の拡充
  また、中小企業の交際費課税の軽減措置が拡充される。資本金1億円以下の法人の交際費に係る定額控除限度額については、現行の400万円から600万円に引き上げられる。中小法人は現在、交際費額のうち、定額控除限度額に達するまでの90%部分が損金算入できるので、改正後は最大540万円まで損金算入が可能となる。適用は、今年4月1日以後に終了する事業年度からとされている。
●  研究開発税制を時限的に拡充
  さらに、研究開発税制の拡充策として、試験研究費の総額に係る税額控除制度等について、2009、10年度において税額控除ができる限度額が、当期の法人税額の20%から30%に引き上げられるとともに、税額控除限度額を超過した額の繰越期間が、1年から最長「3年」(2012年度まで)に延長される。
  この結果、2009、10年度に発生した税額控除限度額を超過した額を、2011、12年度に活用する場合、同2年度間の税額控除限度額が「30%」となる。

  いうまでもなく、これらの税制措置の適用は法案の成立が前提となる。政府・与党としては、これら補正予算案や税制関連法案の本格審議を5月の連休明けから行いたい考えだが、野党の審議拒否等も考えられることから今国会の会期である6月3日までの成立は難しい状況にある。会期の大幅延長の可能性も高いとみられており、今後の国会での審議が注目されるところだ。
(浅野宗玄 税金ジャーナリスト、株式会社タックス・コム代表)
2009.05.11
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