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離婚により共有持分の自宅を追加取得した場合には、
住宅ローン控除が可能に!
●  離婚で自宅を追加取得した場合
  例えば自宅を共有持分として所有していた夫婦が離婚し、離婚に伴う財産分与により妻が自宅を追加取得した場合。これまでは住宅借入金等特別控除(以下、「住宅ローン控除」)の適用に当たり、新たに家屋を取得したものとして、当初から保有していた共有持分と追加取得した共有持分のいずれかについてしか(選択適用)、住宅ローン控除の適用を受けることができなかった。
  それは、住宅ローン控除の要件の一つに、居住用の家屋を二以上有する場合には主となる家屋にのみ住宅ローン控除が適用されることとなっていたからだ。
  しかし、平成21年2月20日付の国税不服審判所裁決では「共有持分を追加取得した場合であっても家屋を二以上有する場合に当たらない」としたことにより、国税庁も取扱いを改めた。
●  変更後の取扱い
  変更後の取扱いは、当初から保有していた共有持分と追加取得した共有持分のいずれについても(両方とも)住宅ローン控除を適用できる。ただし、共有持分の追加取得であっても、追加取得時において生計を一にし、その取得後も引き続き生計を一にしている親族等からの取得は住宅ローン控除の対象とはならない。
  従って、この取扱いが変更になったことにより所得税の減額を受けることができることが可能な人もいる。ただし、既に住宅ローン控除額の上限額が適用されている場合には、再計算しても追加で所得税の減額を受けることはできないので注意してほしい。
●  確定申告書の提出の有無
  所得税の減額の手続きは、既に確定申告書を提出しているかどうかにより異なる。
1.既に確定申告書を提出している場合
  既に確定申告書を提出している年分については、原則としては法定申告期限から1年以内に税務署に更正の請求の手続きができる。しかし、今回の取扱いの変更は、後発的事由が生じた場合に該当するため、法定申告期限(還付請求申告書については、その申告書を提出した日)から5年以内であれば更正の請求が可能とされる(法定申告期限から5年を過ぎてしまった分についてはできない)。なお、更正の請求ができるのは、この取扱いの変更を知った日の翌日から2月以内とされている。顧問税理士がいるのならば、既に取扱いの変更を知っており更正の請求期間が過ぎていると判断されるかもしれないが、そうでない納税者についてはこれから更正の請求ができるものと考えられる。
2.確定申告書を提出していない場合
  給与所得の場合、住宅ローン控除を適用する初年度を除き、あとは年末調整で適用を受けることができるので確定申告をしていない人が多い。この場合、確定申告書を提出していない年分について、その年の翌年1月1日から5年間還付申告することにより所得税の減額を受けることができる。
(今村京子 マネーコンシェルジュ税理士法人)
2009.06.01
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