>  今週のトピックス >  No.1851
分割騒動で一躍注目を浴びた厚生労働省
●  “巨大官庁” 厚生労働省
  分割、再編されるかもしれないとのことで一躍注目を浴びた厚生労働省。
  年金、医療をはじめとする社会保険や、昨今の経済情勢悪化でにわかにクローズアップされている雇用保険などの労働保険をも所管している巨大官庁である。もともとは2001年の省庁再編によって厚生省と労働省が一緒になって誕生しており、約88兆円といわれる国の一般会計予算において、各省庁の中でも最大規模の20兆円を超える予算を抱えている。
●  “国民生活にかかわりの深い官庁” 厚生労働省
  厚生労働省の所管事項は国民全般にかかわるため幅広い。それだけ国民の関心の高い項目と、厚生労働省の所管業務が重なってくることになる。
◇国民生活に関する60項目についての重要度(2005年の上位10項目)
項目 2005年 2002年
老後に十分な年金が得られること 第1位 第4位
地震、台風、火災などへの対策がしっかりしていること 第2位 第5位
警察官、裁判官などが信頼できること 第3位 第1位
大気汚染、騒音、悪臭などの公害がないこと 第4位 第3位
費用の心配をあまりせずに診療が受けられること 第5位 第16位
食品や薬品など商品・サービスの安全性が確保されていること 第6位 第2位
危険な工場や施設に対する管理が十分なこと 第7位 第7位
ひとり暮らしの老人やひとり親世帯の人たちなどが安心して生活できること 第8位 第9位
適切な(良質な)診断や治療が受けられること 第9位 第18位
安心して子どもを生み育てられる環境が整っていること 第10位 第13位
資料:内閣府「国民生活選好度調査」(2005年度)
  時代背景などの相違により順位変動はあるのだろうが、2005年時点での国民の関心が高い上位10項目のうち、実に6項目(網掛け部分)が、厚生労働省がかかわりを持たなければならない項目となっている。
  また、厚生労働省は私たちのライフサイクルにおいても、実に多くの問題に関与している。
  学校を卒業し、企業に入社してからの健康保険・厚生年金、就業先の労働安全問題、就業中の災害補償問題や雇用問題も厚生労働省の管轄である。また、高齢者の介護・長寿医療制度、加えて出産・育児の問題なども大いにかかわりがある。
  その意味では、現在の厚生労働省の組織は一貫した行政サービスが可能な体制ということができるだろう。
●  国民の目線に立った行政サービスが可能な組織に
  記憶に新しいところでは、「新型インフルエンザ」の対応で舛添厚生労働大臣がマスコミにひんぱんに登場したことを覚えている方も多いだろう。
  数年前から話題となっている年金問題は、厚生労働省の外郭団体である社会保険庁の解体にまで発展している。すでに昨年10月には政府管掌健康保険が全国健康保険協会に移管され、残る公的年金についても来る2010年には日本年金機構へ移管し、社会保険庁は解体されることとなっている。職員の再雇用問題も今の話題だ(いったん解雇となり、日本年金機構か厚生労働省のいずれかに再雇用の予定)。
  今回の厚生労働省の再編問題は、一部で総選挙へ向けてのパフォーマンスではないかといわれている。民間企業においても組織の見直しは行われているとはいえ、厚生労働省は国民生活に直結する省庁であり、解体・再編騒動があろうがなかろうが、国民の目線に立った行政サービスが可能な組織となってくれることが切に望まれる。
2009.06.08
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