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メリットいろいろ! 国民年金基金
●  老後の生活費…ご夫婦で月額27万円必要です
  みなさんが老後に受け取る国民年金(老齢基礎年金)は、ご夫婦で月額約13万円(※1)です。しかし現実には、高齢者世帯では月額約27万円(※2)の生活費が必要であると言われています。会社員(第2号被保険者)には国民年金の他に厚生年金が上乗せして支給されますので、この不足分を補うことができます。一方、自営業者(第1号被保険者)にはこのような上乗せ支給がありません。
  国民年金基金は、このような自営業の方の老後の生活費を補うための公的な個人年金です。
  (※1)792,100円(平成21年度価格)/12カ月×2人≒132,016円
  (※2)平成19年 総務省統計局「家計調査」による
●  公的な個人年金ならではの有利な税制措置
  国民年金基金は公的な個人年金なので、掛金の全額を社会保険料として課税所得額から控除することができます。一般保険会社の個人年金の場合、控除額は年間5万円(住民税3.5万円)が上限です。
  例えば課税所得金額400万円の方が、年間30万円を一般の個人年金もしくは国民年金基金に支出した場合の税効果を比較してみましょう。
  一般の個人年金に30万円(年間保険料額)を支出すると、所得税+住民税で約1万3,500円の軽減になります。これに対し、国民年金基金に掛金30万円(年間合計額)を支出した場合、所得税率20%・住民税率10%となり、所得税+住民税で約9万円軽減されます。
  結果的に、実質約21万円の支出で掛金30万円分の年金を受け取ることができるのです。
●  生涯で受け取る年金額が確定します
  国民年金基金は、65歳から生涯にわたって受け取る終身年金が基本となるため、いわゆる長生きリスクに対応できます。毎月の掛金は加入時の年齢、性別、選択する給付の型と口数によって決まります。掛金は一定ですので、加入時の掛金の金額は60歳まで変わりません。掛金の上限金額は月額6万8,000円、払込期間は60歳(前月)までです。基金を脱退したときの返戻金はありませんが、脱退に伴う解約違約金などのデメリットもありません。掛金を納めた期間に見合った年金を生涯受け取ることができるので、確実な老後の資金になります。ただし、原則として加入後に任意で脱退することはできませんのでご注意ください。
●  加入資格などの注意点
  20歳以上60歳未満の国民年金の第1号被保険者(自営業者など)のみ加入でき、国民年金の保険料が納付されていることが前提となります。また、基金を脱退することになるのは、第1号被保険者でなくなったとき、国民年金の保険料が免除されたとき、国民年金の任意加入被保険者になったとき等です。
(野上 幸彦 特定社会保険労務士、野上社会保険労務士事務所 所長)
2009.06.15
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