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納税資金を確実に確保する方法
●  5月、6月は納税のピーク
  日本の企業は3月決算(法人数全体の約2割)が多いため、5月末は納税資金の確保のため右往左往した経営者もいらっしゃるだろう。また個人も含めて5月から6月にかけては、自動車税、固定資産税、都市計画税、住民税(普通徴収)の第1期の納付時期でもある。
  毎年、この時期に納税があることはわかっているけれど、日々の資金繰りに追われてついつい納税予定の資金まで運転資金に回してしまっている納税者も少なくないだろう。ましてや昨秋来の不況はいまだ先が見えない状況である。特に中小企業においてはより顕著である。
  そこで、今後納税資金を確実に確保する方法をご提案するので、ぜひ参考にしていただきたい。
●  納税通帳のススメ!
  納税資金を確実に確保するために、納税専用通帳を作成することをお勧めする。自分のなかで納税専用と決めるのもよいが、金融機関には納税のための「納税準備預金」というものがあるのでこちらを利用するとよい。
●  納税準備預金とは?
  納税準備預金とは、租税(国税または地方税)の納付に充てることを目的とした金融機関に対する預金のことである。最大のメリットは、預金利子が非課税であることだ。さらに金融機関によっては、若干金利が優遇されているところもある。そして、法人でも個人でも利用可能であり、原則として租税の納付準備資金を預け入れ、払戻しは租税の納付に充てる場合に限られる。その際、租税納付のためとわかるように納付書・納税告知書・その他租税納付のための書類の提出が必要となる。もちろん、税金の自動振替口座に指定することもできる。
  ただし、あくまでも租税納付を目的とする預金であるため、目的外に払い戻す場合には、最大のメリットである預金利子は非課税とならない。その払戻日が属する利息決算期間の利息全額に対して、所得税および住民税合計で20%の税金が天引きされることになる。
●  具体的な積立方法
  例えば、法人が消費税の納税資金を確保するためにはどうすればよいか。消費税課税事業者の場合、たとえ事業が赤字で均等割だけの納付であっても、通常は消費税については課税される。また、簡易課税方式を選択している場合、簡易課税方式は売上に係る消費税の一定割合を仕入税額控除とみなして消費税納税額を計算する仕組みのため、必ず納付ということになる(予定納税の還付を除く)。
  では、原則課税方式と簡易課税方式に分けて積立方法を説明する。まず原則課税方式だが、毎月の税抜き試算表に計上される仮受消費税と仮払消費税との差額金額を未払消費税と考えて通帳に預け入れていく。簡易課税方式のほうは、試算表の課税売上高に係る消費税に、(1−みなし仕入率)を乗じた金額を預けていくとよい。みなし仕入率については前年の消費税申告書をみれば記載されている。
  ここで、簡易課税方式を選択していた事業者が前々事業年度の課税売上高が5,000万円を超えるため今期から原則課税方式となった場合、通常は支払消費税が増えるので注意が必要だ。そのためにも、毎月試算表を作成し、仮受消費税と仮払消費税との差額金額を通帳に預け入れることを忘れずにしていただきたい。
  また、自動車税・固定資産税・都市計画税については、支払金額が予想できるので、(支払予定金額÷12)ずつ、毎月通帳に預け入れることをお勧めする。
 (今村京子 マネーコンシェルジュ税理士法人)
2009.06.15
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