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500万円の住宅資金贈与特例
●  住宅ローン減税等に加えて利用可能
  2009年度補正予算による追加経済対策のひとつとして、「500万円の住宅資金贈与非課税」が期間限定の特例として認められることになった。
  住宅取得にかかる優遇税制としては、「住宅ローン減税」の適用期限が5年間延長され、内容も拡充されている。また、親世代の持つ資産を、相続時(親死亡時)ではなく早めに渡すことで、子世代の消費を促す「相続時精算課税制度」について、住宅資金特例(住宅資金贈与に限り通常枠より1,000万円上乗せ。親の年齢制限の撤廃)が設けられている。
  500万円の非課税特例は、前述の住宅優遇税制に加えて利用できること、相続財産とは切り離して利用できること、資金の出し手を祖父母まで広げていることから、富裕層や相続時精算課税制度対象外の祖父母などの利用を促せると期待されている。
●  新制度は2年間の時限措置
 新制度の概要は以下のとおりである。
<期間> 平成21年1月1日から平成22年12月31日の2年間
<非課税枠> 2年間で累計500万円
<贈与する人> 直系尊属(親・祖父母/年齢問わず)
<贈与される人> 子・孫(贈与の年の1月1日に満20歳以上)
<贈与資金の使い道>  (1)自己の居住用住宅の新築や取得
   (2)工事費100万円以上の増改築
 ※住宅資金を取得した年の翌年3月15日までに(1)(2)を行い、 そこに居住すること
<その他> 贈与税の申告が必要。相続税の計算には加算されない。
●  相続時精算課税制度と比べると…
相続時精算課税制度   500万円非課税
親(65歳以上)
※住宅資金の特例では年齢制限なし
贈与する人 親・祖父母(年齢制限なし)
子(20歳以上) 贈与される人 子・(20歳以上)
制限なし
※住宅資金の特例部分は住宅資金のみ
対象 住宅資金のみ
2,500万円
(住宅資金の特例は1,000万円加算)
金額 500万円
相続財産に加算する 将来の相続時 相続財産に加算しない
  相続時精算課税制度は、一度選択すると取り消すことができないが、今回の500万円の非課税特例は将来の相続とは関係ないので気軽に利用しやすい。通常の贈与税の非課税枠(受取る人1人あたり、年110万円)とも一緒に使えるので、例えば父親から610万円までの住宅資金をもらっても、他に贈与がなければ税金はかからない。祖父母がかわいい孫のマイホーム取得を応援したいというケースでも活用できる。
  上記の優遇税制の他にも、自治体によっては地元企業の景気対策の一環として、条件を満たした人へ住宅ローンの利息補助などの住宅取得優遇制度を設けている。雇用の心配がないなど、マイホーム取得の条件が整っている人にとっては、今年・来年は有利に住宅を購入できるチャンスといえるだろう。
(山田静江 CFP®)
2009.06.15
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