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“200年住宅”はこれだけ優遇される!
●  長期優良住宅普及促進法が施行
  さる6月4日に「長期優良住宅普及促進法」が施行された。これは、福田前総理が始めたプロジェクトで、寿命の短い日本の住宅を欧米並みの耐用年数に引き延ばし、住宅の質を上げることを目的としている。法律自体は昨年12月に公布されていたが、いよいよこの6月から施行されることになった。この“長期優良住宅”に該当する住宅については、さまざまな税制上のメリットが受けられる仕組みになっている。
●  “長期優良住宅”とは…
  では、“長期優良住宅”とは具体的にはどのような住宅なのだろうか。
  まず、“長期優良住宅”として認められるためには、行政庁の認定を受けなければならない。認定基準は「劣化対策」「耐震性」「バリアフリー性」などの複数項目に分かれており、それぞれの項目で「数世帯にわたり住宅の構造躯体が使用できること」「建築基準法レベルの1.25倍の地震力に対して倒壊しないこと」「少なくとも10年ごとに点検を実施すること」などの基準を満たさなければならない。認定を受けた“長期優良住宅”については、住宅履歴情報が作成され、その後の定期点検の結果等を追加しながら履歴が保存される。売買等の際にはその履歴も引き継がれる。
●  “長期優良住宅”なら住宅ローン控除を優遇
  冒頭でも記載したように、この“長期優良住宅”については、さまざまな税制上のメリットが用意されている。今年の税制改正で住宅ローン控除は大きく拡充されたが、その中でも一般住宅に比べ、“長期優良住宅”はさらに優遇されている。一般住宅の住宅ローン控除は、住宅ローン残高の1%(年間最大50万円)の控除を10年間受けることができるが、“長期優良住宅”の場合には、居住開始年が平成21〜23年の場合に限り、控除率が1.2%(年間最大60万円)となる。また平成23年以降は、一般住宅に比べ、控除限度額が優遇される。
  さらに、“長期優良住宅”を新築等した場合に、標準的な性能強化費用相当額として一定の算式で計算された金額(控除限度額100万円)を所得税から直接控除できる制度も新設されている(住宅ローン控除との選択制)。
●  他にもさまざまな税制上のメリット
  その他所得税以外の税金についても優遇措置が用意されている。まず登録免許税については、長期優良住宅の場合、一般住宅よりも所有権保存登記が0.05%、所有権移転登記が0.2%優遇される。不動産取得税については、新築住宅に適用される課税標準からの控除額を一般住宅より100万円優遇する。固定資産税については、新築住宅に係る減額措置が一般住宅より2年延長される。また、住宅金融支援機構の住宅ローン制度(フラット35S)において、0.3%の金利優遇を20年間受けることができ、さらに返済期間が50年のフラット50を利用することもできる。
  ただし、このようなメリットを受けられる分、“長期優良住宅”の購入価格等は当然一般住宅よりも高くなる。実際にどこまで普及するかは未知数だが、国土交通省は、2011年までに、新築の10%にまで増やすことを目指している。
(村田 直 マネーコンシェルジュ税理士法人)
2009.06.22
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