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どちらを選ぶ? 失業・退職後の健康保険 その1
●  「健康保険の任意継続」と「国民健康保険」、どちらを選ぶ?
  リストラによる失業、転職、定年退職など、会社を退職した後の健康保険はどうすれば良いのでしょうか? 退職後の健康保険をどうするかについては、いくつかの選択肢がありますので、今回および次回の2回にわたり、説明していきます。
  退職後の状況によっては、ご家族どなたかの扶養に入り、その方の加入する健康保険制度の被扶養者になることも可能ですが、ここでは失業給付をもらいながら次の仕事を探すケースを考えてみます。
  結論として、このケースでは「健康保険の任意継続(任継)」もしくは「国民健康保険(国保)」いずれかの健康保険制度に加入することになります。では、どちらの制度に加入するべきなのでしょうか? 両制度ともに、病院にかかる場合の自己負担額は3割です。しかし、保険料の算定方法をはじめさまざまな違いがあります。
  両制度の内容を理解したうえで、どちらの制度に加入するかを検討するべきです。まず今回は、「健康保険の任意継続」についてとりあげます。
●  健康保険の任意継続とは?
  「健康保険の任意継続」とは、会社を退職した後も、本人が希望すれば退職前と同じ健康保険制度に継続して加入できるという制度です。加入条件は、2カ月以上継続してその会社に勤務していることです。要するに、普通に勤めていた方なら任意継続が可能ということです。ただし、退職日の翌日から20日以内に加入手続が必要です。また、任意継続期間は2年間です。
  毎月の保険料は、退職前直近の給与明細をご覧いただければわかります。明細に記載されている「健康保険料」「介護保険料(=40歳以上の方)」の2倍の金額です。健康(介護)保険料は、会社に勤務しているときは会社が半額を負担してくれています。しかし退職後の任意継続の場合、保険料は全額自己負担になるため2倍になります。ただし、保険料には上限額が設定されており、平成21年6月現在の上限額は、22,960円です。なお、介護保険料を支払っている方の場合は26,292円が上限額となります。
●  任意継続についての注意点
  任意継続の手続きは、退職後ご自身で行う必要があります。手続きの際には、退職前の健康保険証の記号・番号が必要です。保険証を会社に返却する前に、あらかじめコピーを取っておきましょう。保険料は、毎月期限内に金融機関を通じて納付します。万一期限内に納付しなければ、その翌日に資格を失いますので十分ご注意ください。
  また、以前このトピックスでも取り上げた、「国民年金の前納割引制度」(No.1847)と同様に、任意継続にも前納割引制度があります。ただし、再就職、死亡以外の理由では前納した保険料は返金されません。例えば、結婚してご主人の扶養になる、国民健康保険へ切り替える等の理由で任意継続をやめることはできませんので注意が必要です。
(野上 幸彦 特定社会保険労務士、野上社会保険労務士事務所 所長)
2009.06.29
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