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経済対策関連税制改正法が6月19日に再可決、成立
  延長国会の焦点となっていた経済危機対策関連の税制改正(租税特別措置)法が6月19日、参院本会議で野党の反対多数で否決された後、衆院本会議において憲法の規定に基づき、出席議員の3分の2以上の賛成多数により再可決し、成立した。税制改正法の内容は、
(1)住宅取得等のための金銭贈与に係る贈与税の時限的軽減措置
(2)中小企業の交際費課税の軽減
(3)研究開発税制の拡充
である。
●  住宅取得等の金銭贈与に500万円の非課税枠
  贈与税の時限的軽減措置は、2009年1月1日から2010年12月31日の間に、その年の1月1日において20歳以上の者が、その直系尊属(父母、祖父母など)から受ける住宅取得や増改築のための金銭の贈与については、その期間を通じて500万円まで贈与税を非課税とする。暦年課税(基礎控除110万円)であれば610万円、住宅取得資金に係る相続時精算課税制度(特別控除3,500万円)であれば4,000万円までそれぞれ非課税枠が広がる。
  適用対象となる住宅取得の範囲は、現行の住宅取得資金等に係る相続時精算課税の特例と同様に、居住用家屋と同時に取得する敷地も含まれる。この特例の適用を受けるためには、住宅購入や入居等を証明するため、確定申告時に登記事項証明書や住民票の写しなどを添付・提示する必要がある。
●  交際費の非課税限度額を600万円に引上げ
  交際費等の損金不算入制度については、資本金等1億円以下の中小企業に係る交際費課税について、定額控除限度額を400万円から600万円に引き上げる。この改正は、法人の2009年4月1日以後に終了する事業年度分の法人税について適用する。
  すでに申告している場合であっても、改正後の措置が適用となる。交際費課税では、定額控除限度額に達するまでの交際費金額の90%を損金算入できる。
●  試験研究を行った場合の特別税額控除制度の特例
  試験研究費の総額に係る特別税額控除制度、特別試験研究費に係る特別税額控除制度及び中小企業技術基盤強化税制について、以下の特例措置を講じる。
(1)今年4月から2011年3月末の間に開始する事業年度における税額控除できる限度額を当期の法人税額の30%(現行20%)相当額に引上げ
(2)2011年4月から2012年3月末の間に開始する事業年度において税額控除限度超過額を繰越控除する場合には、繰越控除の対象となる金額に2009年度に生じた繰越税額控除限度超過額を含めることとする(この場合に、繰越控除の適用を受けることができる限度額は、当期の法人税額の30%相当額とする)
(3)2012年4月から2013年3月末の間に開始する事業年度において税額控除限度超過額を繰越控除する場合には、繰越控除の対象となる金額に2009年度または2011年度に生じた繰越税額控除限度超過額を含めることとする(この場合に、繰越控除の適用を受けることができる限度額は、当期の法人税額の30%相当額とする)
  上記の(1)から(3)までの措置の改正に伴い、一事業年度において複数の法人税の特別控除制度の適用を受けることができる場合には、これらの特別税額控除制度による控除税額の合計額のうち、当期の法人税額を超える部分の金額は、繰越税額控除限度超過額として繰越控除できることを明確化する。
(浅野宗玄 税金ジャーナリスト、株式会社タックス・コム代表)
2009.06.29
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