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税務署は7月から新年度開始! 動き出す税務調査
●  税務署の事務年度は7月開始
  今年も早いもので、この7月から後半戦開始である。7月というのは、源泉所得税の納期の特例、労働保険申告、算定基礎届、所得税の予定納税減額などさまざまなイベントがあるが、もう1つ、税務関係では大きな節目となっている月でもある。それは、税務署の新しい事務年度が7月から開始する、ということである。
  税務署の事務年度は、7月から翌年6月までとなっており、税務署員の人事異動も例年7月に行われる。それが落ち着き、引き継ぎ等が一段落すると、やがて税務署員は一斉に税務調査に向けて動き出すことになる。
●  税務調査の最重要項目ベスト5
  通常、税務調査は3〜4年程度のサイクルで実施されることが多い。そろそろかな? と思われる会社は、今のうちから準備をしておこう。
  税務調査において、最も重視される項目を5つだけ挙げるとするならば、それは「売上」「仕入」「役員給与」「同族間取引」「消費税」になるだろう。以下簡単に、それぞれの注意点をまとめてみる。
●  売上、仕入、在庫は三位一体
  何はともあれ、どんな会社でも税務調査で「売上」を確認されないことはない。必ずチェックされる項目である。
  売上については、例外なく、売上の計上漏れがないかどうかが確認される。長い目で見れば、前期の売上に計上すべき売上が当期に計上されていても問題ないように思われるが、この場合、前期終了時点で税務調査が行われれば、アウトである。自社がどのタイミングで売上を計上しているのか、その計上基準を明確にしておく必要がある。締め日と期末日が異なる場合には、締め日以降の売上が計上されているかどうかも確認される。
  そして「売上」とヒモ付きで確認されるのが、「仕入」と「在庫」である。期末から翌期首にかけての仕入、在庫、売上の流れは必ず確認される。期末に仕入れ、翌期首に売り上げた商品が、期末棚卸明細に計上されているか、棚卸金額には運賃等の付随費用も含まれているか、他社への預け在庫等が計上されているか、といった点が確認される。
●  同族会社は役員給与と同族間取引に注意
  最近は「役員給与」もトピックスの1つなので、要注意である。平成18年度税制改正において、「定期同額給与」と「特殊支配同族会社の役員給与損金不算入」が導入されたため、その点は必ず確認される。特に、社宅家賃などの経済的利益がある場合や、使用人兼務役員がいる場合などは要注意である。
  役員給与に関連する項目として、「同族間取引」がある。例えば、会社からオーナー社長に貸付を行った場合に利息を取っているか、会社とオーナー社長間で物品売買が行われている場合にそれが適正価格であるか、などという点が確認される。
●  赤字でもおまけはしてもらえない
  最後は、「消費税」である。消費税は赤字法人であっても、支払わなければならない。同様に赤字でも支払わなければならない税金として、源泉所得税や印紙税などがある。後から不備が見つかると、加算税や延滞税の対象となるので、ミスのないようにしたい。
(村田 直 マネーコンシェルジュ税理士法人)
2009.07.06
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