>  今週のトピックス >  No.1870
類似業種比準価額計算上の業種目分類を見直し
●   「日本標準産業分類」の改定に伴う見直し
  国税庁はこのほど「平成21年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について(1月・2月分)」(法令解釈通達)を公表したが、1月・2月分はその年分のサンプル会社の洗い替え等が例年通り行われており、また、今回はそれに加えて業種目も見直されたので注意したい。
  同通達は、相続税および贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方式の一つである類似業種比準方式により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株あたりの配当金額、利益金額、純資産価額および株価について定めているもので、実務家にとってはなくてはならない重要なものだが、「日本標準産業分類」の第12回改定(2008年4月施行)に伴い、同分類に基づいて分類している類似業種比準価額計算上の業種目について見直しを行った。
●   平成21年分の類似業種比準価額計算上の業種目分類
  見直しの結果、平成21年分の類似業種比準価額計算上の業種目分類は、別表「日本標準産業分類の分類項目と類似業種比準価額計算上の業種目との対比表(平成21年分)」の通りとなり、評価会社の類似業種の業種目については、別表に基づき判定することになる。
  評価会社の類似業種の業種目については、「直前期末1年間における取引金額」により判定することになるが、その取引金額のうちに2以上の業種目に係る取引金額が含まれている場合には、取引金額全体のうちに占める業種目別の取引金額が50%を超える業種目とし、その割合が50%を超える業種目がない場合には、次の財産評価基本通達に掲げる場合に応じたそれぞれの業種目となる。
(1)  評価会社の事業が一つの中分類の業種目中の2以上の類似する小分類の業種目に属し、それらの業種目別の合計が50%を超える場合は、その中分類のなかにある類似する小分類の「その他の○○業」
(2)  評価会社の事業が一つの中分類の業種目中の2以上の類似しない小分類の業種目に属し、それらの業種目別の割合の合計が50%を超える場合((1)に該当する場合を除く。)は、その中分類の業種目
(3)  評価会社の事業が一つの大分類の業種目中の2以上の類似する中分類の業種目に属し、それらの業種目別の割合の合計が50%を超える場合は、その大分類の中にある類似する中分類の「その他の○○業」
(4)  評価会社の事業が一つの大分類の業種目中の2以上の類似しない中分類の業種目に属し、それらの業種目別の割合の合計が50%を超える場合((3)に該当する場合を除く。)は、その大分類の業種目
(5)  (1)から(4)のいずれにも該当しない場合は、大分類の業種目の中の「その他の産業」
上記判定の際、小分類又は中分類の業種目中「その他の○○業」が存在する場合には、原則として、同一の上位業種目に属する業種目はそれぞれ類似する業種目となる。ただし、「無店舗小売業」(中分類)については、「小売業」(大分類)に属する他の中分類の業種目とは類似しない業種目であることから、他の中分類の業種目の割合と合計することにより50%を超える場合は、上記(4)により「小売業」となる。
●   評価会社の規模区分を判定する場合の業種の分類
  また、取引相場のない株式は、会社の規模に応じて区分し、原則として、大会社の株式は類似業種比準方式により、小会社の株式は純資産価額方式により、中会社の株式はこれらの併用方式により、それぞれ評価することとしている。
  この場合における会社の規模判定要素の数値基準(「従業員数」「総資産価額(帳簿価額によって計算した金額)」および「直前期末1年間における取引金額」)については、「卸売業」「小売・サービス業」および「卸売業、小売・サービス業以外」の三つの業種ごとに定めており、評価会社がどの業種に該当するかは別表の通りとなる。
(浅野宗玄 税金ジャーナリスト、株式会社タックス・コム代表)
2009.07.06
前のページにもどる
ページトップへ