>  今週のトピックス >  No.1871
どちらを選ぶ? 失業・退職後の健康保険 その2
●  「健康保険の任意継続」と「国民健康保険」、どちらを選ぶ?
  リストラによる失業、転職、定年退職など、会社を退職した後の健康保険はどうすれば良いのでしょうか? 退職後の健康保険をどうするかについては、いくつかの選択肢があります。
  退職後の状況によっては、ご家族どなたかの扶養に入り、その方の加入する健康保険制度の被扶養者になることも可能ですが、ここでは失業給付をもらいながら次の仕事を探すケースを考えてみます。
  結論として、このケースでは「健康保険の任意継続(任継)」もしくは「国民健康保険(国保)」いずれかの健康保険制度に加入することになります。では、どちらの制度に加入するべきなのでしょうか? 両制度ともに、病院にかかる場合の自己負担額は3割です。しかし、保険料の算定方法をはじめさまざまな違いがあります。
  両制度の内容を理解したうえで、どちらの制度に加入するかを検討するべきです。前回(1863)は「健康保険の任意継続」についてご説明しました。今回は、「国民健康保険」(以下、国保)の年間保険料の計算方法についてとりあげます。
●  市区町村ごとに計算方法が異なる国民健康保険料
  国保の運営は市区町村となるため、住んでいる地域により保険料率や計算方法に違いが生じます。保険料額はいくつかの項目を合算した合計額になります。
  主な計算項目は以下のとおりです。
世帯別平等割
国保の保険料は世帯単位で計算されます。例えば、自営業者の夫が国保に加入している場合に、妻が会社を退職後に国保に加入しても、この金額は変わりません。
被保険者均等割
その世帯で国保に加入している人1人当たりに掛かる金額です。例えば、すでに夫が国保に加入、会社を退職した妻が新たに国保に加入すれば、この額は2名分になります。
所得割
前年度の収入により算定される額です。これは、国保保険料額に大きく影響します。採用される計算方法や率も市区町村により大きく異なるため、お住まいの地域によって金額に大きな差が生じます。例えば、
・ A市の算定方法=市民税(所得割額)×○○%
・ 隣のB市の算定方法=(前年度の所得額−基礎控除額)×△△%
等です。
資産割
その年の固定資産税に対して算定される金額です。
年間保険料の上限は市区町村によって違いますが、世帯ごとにおおむね50万円前後の上限額が決められています。国保加入の際には、お住まいの地域の役所にお問い合わせのうえ、年間保険料額等の詳細をご確認ください。
(野上 幸彦 特定社会保険労務士、野上社会保険労務士事務所 所長)
2009.07.13
前のページにもどる
ページトップへ