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自動車保険料6年ぶりに引き上げへ
  損害保険会社の自動車保険料決定の目安となる「自動車保険参考純率」の改定が発表された。前回平成15年以来6年ぶりの改定。保険料の収入減と支出増で自動車保険全体の収支が悪化していることから、全体で5.7%の引き上げとなっている。
  収入減の理由としては、(1)保険料の低いコンパクトカーの増加、(2)無事故割引率が高い契約者の増加、(3)保険料の高い若年ドライバーが減少したこと、が挙げられている。
   一方、少額損害でも保険金の請求・支払いが増加していることや、不払い問題の対応策として、事故発生時に支払いの可能性のある保険金をすべて案内していることなどによる、保険金支払額の増加によって支出が増えたとのことだ。
●  主に60歳以上が運転する場合の引き上げ幅が大きい
  今回の改定で注目したいのは、保険料率の区分要素が変わったことだ。
  最も大きな見直しは、年齢区分の変更だろう。これまで「補償対象となる年齢条件」は、全年齢、21歳以上、26歳以上、30歳以上の4区分であったが、30歳以上を廃止し、3区分に統合。その上で26歳以上の区分を、「記名被保険者(主に運転する人)」の年齢で6つに分類している。この結果、記名被保険者が60歳以上の場合の保険料は、30歳以上60歳未満に比べて4%前後高い改定率となっている(表参照)。新聞等でも報道されているように、高齢者による自動車事故の増加が保険料アップにつながったものと思われる。
  例えば60代の両親と30代の息子がいる家庭で、1台所有する自動車の記名被保険者が父や母ならば60歳以上70歳未満の保険料率が、記名被保険者が息子であれば30歳以上40歳未満の保険料率が適用されることになる。
●  運転者限定は2区分から3区分へ
  もうひとつの区分変更は、運転者限定に関するものだ。これまでの参考純率は、補償対象とする運転者を「限定しない」か「家族に限定」するかで2段階に区分されていたが、今回の改定では、運転者を「限定しない」「家族に限定」「本人・配偶者に限定(新設)」の3区分となった。限定する範囲が狭くなるほど保険料は低くなるが、その最大格差は1.08倍となっている。

  不払い問題で保険金が「適正に」支払われるようになったら、収支が悪化して保険料が高くなるというのは皮肉な面もあるが、これが適正な保険料水準と思えば納得できるのではないだろうか。とはいえ、保険料の高い若者の車離れと、高齢者による事故の増加という、社会的な事情も絡んでいる点には注目しておきたい。今後この傾向が顕著になれば保険料は再び上昇する可能性もあるからだ。
  すべての保険料が引き上げになるイメージがあるが、上記表の条件で車両保険を追加した場合には、「全年齢補償」と「26歳以上補償で記名被保険者60歳以上」を除けば、保険料はやや引き下げになっている。車両保険をつけている家庭では、来年以降はむしろ保険料が安くなるケースもある、という点は覚えておきたいところだ。
  参考資料: 自動車保険参考純率改定のご案内
    自動車保険参考純率説明資料(平成21年6月22日金融庁へ届出)
    /以上、損害保険料率算出機構
(山田静江 CFP®)
2009.07.27
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