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会計検査院、国税庁に還付金の支払事務の効率化を要求
●  支払日数に応じて加算される還付加算金
  会計検査院は7月14日、全国524の税務署が2008年に支払った高額還付金に係る還付加算金は計118億5千万円にのぼるが、支払事務を効率化すれば27億9千万円が節減できたと指摘し、国税庁に対して還付金の支払事務を効率化することを要求した。還付金額が高額な申告は他の還付申告と区分して、早期に支払事務に要する日数を短縮するなどして還付加算金の節減を図ることを求めている。
  還付加算金は、還付することとなった国税の申告期限の日など所定の日の翌日から還付金の支払決定日までの日数に応じて、還付金の額に一定割合(2008年分は年4.7%、2009年分は年4.5%)を乗じて計算した額を還付加算金として、その還付金に合算して支払うこととされている。この還付加算金は、納税者が国税の納付を遅延した場合に延滞税が課されることなどとのバランスを考慮したもので、一種の利子に相当するものとされている。当然、還付金額が高額であるほど、また、支払事務に要する日数が長くなるほど、還付加算金は膨らむ。
●  高額還付金に係る還付加算金は計118億5千万円
  そこで会計検査院は、経済性等の観点から、還付申告に係る支払事務に要する日数が長期間となっているものについて、税務署等における還付金の支払事務等が適切に行われているかなどに着眼して検査を実施した。
  法人1件300万円を超える還付金を対象に調査した結果、全国の税務署が2008年に支払った還付金は計4兆1,811億8千万円、還付加算金は計338億3千万円だった。このうち、高額還付金(税務署規模により1億〜10億円以上)は、還付金が計2兆1,198億6千万円、還付加算金は計118億5千万円にのぼる。
  また、高額還付金の支払事務に要した日数は、「10日以内」のものが11.5%で、「11日以上」のものは88.4%を占め、平均では「23日」かかっていた。
●  高額還付金を他の還付金と区分して処理するよう要求
  一方、還付金の支払事務手順をみると、一部の税務署を除き、多くの税務署が、高額還付金があっても他の還付申告と区分することなく、申告書の受付順に手続きを行っていた。そこで、高額還付金に係る申告を他の還付申告と区分して支払事務を行っていた税務署の例をみると、高額加算金に係る申告については、他の還付申告に比べ同じ支払事務1件でも還付加算金の額が多額になることから、他の還付申告と区分して支払事務を行うことにより、その日数を短縮することで、還付加算金を節減することができると認められるとしている。
  会計検査院は、還付金額の高額案件から順に処理することにより、平均では「23日」かかっていた高額還付金の支払日数を「10日」に短縮していれば、上記の高額還付金に係る還付加算金が27億9千万円節減できたと指摘した。
  会計検査院は、国税庁に対し、還付申告が高額な申告、特に上場法人等の還付申告や輸出業者の消費税に係る還付申告で金額が高額なものについて、他の還付申告と区分して、支払事務に要する日数の目標値を設定するなどして早期に支払事務が完了するよう、国税局・税務署に対して指導および監督を行い、適正な審査を確保しつつ、支払事務日数を短縮することなどの改善の処置を要求している。
(浅野宗玄 税金ジャーナリスト、株式会社タックス・コム代表)
2009.07.27
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