> 今週のトピックス > No.1883 |
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相続税の申告期限の延長について | ||||
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事業承継税制創設に伴い、一定要件のもとで「相続税申告期限」を延長
事業承継に係る諸制度については、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(以下、経営承継円滑化法)」が昨年10月から施行、さらに「取引相場のない株式等に係る相続税の納税猶予制度(以下、相続税の納税猶予制度)」「取引相場のない株式等に係る贈与税の納税猶予制度」が今年度の税制改正で創設され、円滑な事業承継実現に向けた支援が強化されているが、それらの効果については今後明らかになるものと思われる。制度の浸透のために各種手続きにおける特例も設けられているが、一定の要件を満たすことにより相続税の申告期限が延長される取扱いもその特例の一つである。
相続税の申告期限延長の適用のためには以下の要件を満たす必要がある。
なお(1)、(2)の場合、相続税の申告期限は、平成22年2月1日まで延長される。
また、上記(2)の要件を満たさなくとも、被相続人が代表権を持っていた特定受贈同族会社の株式や特定同族株式を相続人に贈与していた場合にも、申告期限延長の適用が可能となることがある(適用要件等、制度についての詳細は、下記の国税庁ホームページをご参照)。 ![]() ●
「相続税の納税猶予制度」を適用しなくても、申告期限の延長は可能
申告期限延長のための適用要件からも分かるように、当制度は「相続税の納税猶予制度」の創設に伴うスタート期間の混乱を回避するために設けられものであり、具体的な適用要件についてはすでに税制改正大綱にも定められていたものである。
相続税の納税猶予を選択した企業には5年間の事業継続要件として、「後継者が代表者であり続けること」「雇用の8割以上を維持すること」「相続した特例対象株式の継続保有」といったことが必要となる。そして、これらの要件を満たせなくなった時点で猶予税額とそれに伴う利子税を一括して納付しなければならなくなるため、企業は事業運営に極めて大きな影響を受けることとなる。納税猶予を受けるかどうかの判断には十分な検討が必要であり、まして、具体事例がほとんどないスタートの時期でもあり、適切な判断を下すための時間的な猶予をここで設けたこととなる。 なお、結果的に「相続税の納税猶予の特例」を適用しなかったとしても、上記の要件を満たしていれば、申告期限の延長は適用される。納税猶予せず通常の申告をしても差し支えない。また、適用にあたっては、申告時には被相続人が会社の代表権を有していたことを明らかにする書類(会社の登記事項証明書など)の提出など定められた対応が必要となる。 ![]() ●
「相続税の納税猶予制度」適用のためには、経済産業大臣による認定が必要
ただし、「相続税の納税猶予制度」を適用するためには、申告に先立って経済産業大臣による認定を受けなければならない。認定を受けるためには、経営承継円滑化法で定められた要件(会社の要件、先代経営者の要件、後継者の要件等)をそれぞれ満たしている必要がある。
事業承継のための新しい支援制度のもたらす効果が明らかになるにはまだまだ時間を要するが、制度の有効活用のためにも、事業承継のために必要とされる対策(納税対策、自社株対策など)を計画的に行っていくことの重要性が従来にも増して大きくなってきたと考えられる。 ![]() 参考:国税庁ホームページより「相続税の申告期限の延長について」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/sozoku-zoyo/7425/pdf/02-01.pdf 中小企業庁ホームページより「中小企業経営承継円滑化法 申請マニュアル」 http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/download/090216shokeihou_san.pdf ![]() |
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2009.08.03 |
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