>  今週のトピックス >  No.1889
確定拠出年金の拠出限度額引き上げ。
マッチング拠出の実現は延長へ
  6月19日に成立した21年度税制改正で、確定拠出年金の拠出限度額(非課税枠)の引き上げと、個人拠出(マッチング拠出)の掛金の全額を所得控除とすることが認められた。個人拠出に関する改正は、確定拠出年金法改正を前提としたものだったが、衆議院解散により確定拠出年金制度に関する法改正案が廃案になったため、審議は次期国会に持ち越されることとなった。
●  拠出限度額は、月2,500円〜5,000円アップ
  拠出限度額の引き上げは、政令の改正により対応できるため、今回の改正案廃案にかかわらず平成22年1月1日から実施される。改正後の拠出限度額は、月額にして2,500円〜5,000円引き上げとなる。自営業者等(国民年金の第1号被保険者)については変更されない。
<確定拠出年金制度の拠出限度額の引き上げ>
確定拠出年金の種類 現行 改正後
企業型 他の企業年金がない場合 月額4.6万円 月額5.1万円
他の企業年金がある場合 月額2.3万円 月額2.55万円
個人型 企業年金がない場合 月額1.8万円 月額2.3万円
自営業者等(第1号被保険者) 月額6.8万円
●  マッチング拠出とは
  企業型の確定拠出年金は、退職金あるいは企業年金の積立方法の一つであり、掛金(拠出額)の金額は原則として会社が決め、掛金は全額会社が負担する。今回導入予定だったマッチング拠出とは、企業型の確定拠出年金において、会社が負担する掛金額まで従業員が自分の給料から掛金を上乗せできるというしくみである(ただし拠出限度額が上限)。
  例えば、他の企業年金がない場合(拠出限度額2万5,500円)、会社から拠出される掛金が1万円の人であれば最高1万円まで掛金を上乗せできるが、会社拠出が2万円ならば従業員の上乗せ分は5,500円が上限となる。
  従業員が負担する掛金は、小規模企業共済等掛金控除として所得控除の対象になる。所得控除の対象になると、その分課税対象額が減るので、掛金分には税金がかからないという税効果がある。
  掛金が月1万円(年間12万円)の場合、年間で節税できる金額は一般的なサラリーマンの場合、所得税と住民税を合わせて1万8,000円(所得税率5%の場合)から3万9,600円(所得税率23%の場合)程度である。つまり実質的な負担10万8,000円から8万400円で、確定拠出年金の口座には12万円が残るというわけだ。
  マッチング拠出が従業員にもメリットがあるといわれるのは、このような税効果があるからだが、老後資金目的の貯蓄と考えれば、制度の外でどんな金融商品を購入するより有利といえるだろう。今回は衆議院解散の影響で実現されなかったが、老後資金の不足分は自己責任でという流れの中、いずれ導入されると思われる。
参考:財務省 平成21年度税制改正のHP(拠出限度額の引き上げ)
http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/zeisei09/05/index.htm#05b
官報号外 平成21年7月29日付け(確定拠出年金法施行令の改正)
http://kanpou.npb.go.jp/20090729/20090729g00159/20090729g001590012f.html
(山田静江 CFP®)
2009.08.10
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