>  今週のトピックス >  No.1896
災害等にあったときの税金面での配慮
●  災害等にあったとき
  今年は梅雨明けが例年より遅く、さらに豪雨が続いた。この豪雨により災害を受けられた方には心よりお見舞い申し上げるとともに、税金面での配慮があるのでぜひお知らせしたい。国税庁ホームページにも記載されているが、適用できる内容について簡単にまとめてみる。
●  申告・納税等の期限の延長
  災害等の理由により申告・納税等をその期限までにできないときは、その理由のやんだ日から2カ月以内の範囲でその期限が延長される。これには、所轄の税務署長に延長を申請しその承認を受ける「個別指定」と、国税庁長官が延長する地域と期日を定めて告示する「地域指定」がある。
●  納税の猶予
  災害等により財産に相当の損失を受けたときは、税務署長に申請することにより納税の猶予を受けることができる。
(1)損失を受けた日に納期限が到来していない国税(災害がやんだ日から2カ月以内に申請)
    ・損失を受けた日以後1年以内に納付すべき国税 → 納期限から1年以内に納税
    ・所得税の予定納税や法人税・消費税の中間申告分 → 確定申告書の提出期限までに納税
(2)概に納期限の到来している国税
    ・一時に納付困難と認められる国税 → 原則として1年以内に納税
●  所得税の全部または一部の軽減(確定申告)
  災害により住宅や家屋などに損害を受けた場合は、確定申告により「所得税法の雑損控除」または「災害減免法に定める税金の軽減免除」のいずれか有利な方を選択することにより、所得税の全部または一部を軽減することができる。一般的に損失額が大きいケースは、雑損控除を選択した方が有利となることが多い。
(1) 所得税法の雑損控除の特徴
   対象は生活に通常必要な資産に限定され、控除額は次の算式のうち、いずれか多い方の金額となる。また、損失額が大きくその年の所得金額から控除しきれない場合には、翌年以後3年間繰り越すことができる。
  ・(損害金額+災害関連支出金額−保険金等による補填金額)−総所得金額等×10%
 ・災害関支出金額−5万円
   なお、災害等に関連してやむを得ない支出をした金額についての領収書を確定申告書に添付するか提示することが必要になるので、紛失しないようにしていただきたい。
(2) 災害減免法に定める税金の軽減免除の特徴
   対象は住宅や家財に限定され、損害額(保険金などにより補填される金額を除く)が住宅や家財の価額の1/2以上であり、災害にあった年の所得金額が1,000万円以下の人に限られる。
   控除額は、その年の所得金額が500万円以下の場合は所得税の全額免除、500万円超750万円以下の場合は所得税の1/2軽減、750万円超1,000万円以下の場合は所得税の1/4軽減となる。
●  予定納税の減額・源泉徴収の徴収猶予など
  前述の所得税の軽減免除は、最終的には翌年の確定申告で精算されるが、確定申告の前に発生する予定納税や源泉徴収についても、減額または徴収猶予を受けることができる制度もある。
  また、消費税においては災害等の生じた日の属する課税期間等について、一般課税から簡易課税、簡易課税から一般課税への変更が一定の場合申請することにより可能である。
  さらには、相続税・贈与税および酒税なども、災害により損害を受けた場合には税額が免除されることがある。
(今村京子 マネーコンシェルジュ税理士法人)
2009.08.24
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