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94.7%の専業主婦が「今後チャンスがあれば働いてみたい」
●  可能な限り専業主婦の希望に応えられるように検討すべき
  株式会社ユーキャンは、このたび子どものいる20代〜40代の専業主婦を対象に意識調査を実施した。この調査は2006年から実施し、今年で4回目となる。今回はリーマンショック後のはじめての調査であり、前年の調査結果と比較した場合にどのように変化しているのかも興味深いところである。
  この調査結果は、就業意識や家計事情などを中心に現在の専業主婦の状況をよく理解することができるのが特徴で、今後労働力不足の時代の到来を考えれば経営者をはじめとして各企業の採用担当者などもぜひ押さえておき、対策を事前に練りたいところだ。
  本年の結果において最も注目すべきデータは、94.7%の専業主婦が、「チャンスがあれば働いてみたい」と答えていることである。企業側も、その他の調査項目から専業主婦の考え方を分析し、可能な限り希望に応えられるように一度検討してみてはどうだろうか。
●  専業主婦は、働く意欲はあるが「条件に合う仕事がない」
  働く意欲のある優秀な専業主婦は、今後の労働力不足の時代において貴重な戦力となるので、採用戦略の中に組み込んでいく必要があることはいうまでもない。今回の調査結果では、「働いてみたい理由は?」という質問に対して、1位は、半数以上の人が選んだ「今より多くの収入を得たいから」となっており、以下「社会との接点をもっていたいから」「自分磨き」「様々な人と交流を持ちたいから」と続いている。
  1位の「経済的理由でより多くの収入を得たい」という回答が多かったのは、リーマンショック以降の経済不況の影響が大きいのではないかと考えたのだが、実際に前年の調査結果と比較してみると、それほど変化はない。より多くの収入が欲しいが、専業主婦でいるのは、やはり理由があるからであり、その理由を取り除いてあげることができれば、優秀な人材を採用できるチャンスは広がるのではないだろうか。
  実際に「現在、働いていない一番の理由は何ですか」と聞いたところ、「条件に合う仕事がないから(仕事内容、労働時間など)」が75人(25.0%)で最も多かった。次に「今は働けない事情(子どもの受験、家族の介護など)があるから」という回答が多かった。また20代は、子どもの預け先がないからという回答も目立っており、状況は深刻であることを物語っている。
●  ワーク・ライフ・バランスの視点からも専業主婦の雇用を考える
  「自分のために使えるお金は、1カ月あたりいくらですか」という質問に対しては、「10,000円」(33.7%)が最も多く、次いで「5,000円」(24.0%)となった。平均額は、全体では「12,175円」で、年代別では20代「9,030円」、30代「11,845円」、40代「15,650円」となった。全体では前年度の調査結果(11,862円)と比較すると少しだけアップしているが、20代は、前年(9,890円)と比較して860円のマイナスとなり、20代の厳しいお小遣い事情が明らかになった。
  このような事情から、企業側は、短い労働時間であっても自分のために使えるお金を少しでも増やしたい専業主婦を上手に活用することが今後の課題となる。近い将来、現在以上にワーク・ライフ・バランス推進の動きが活発になることが見込まれ、柔軟な働き方ができるよう企業側も対応していかなければならない。例えば子どもの成長に合わせて勤務時間や始業・終業の時刻を柔軟に変更できるような社内制度を構築するのもひとつの方法である。
  業種や取り扱っている商品にもよるが、女性の考え方や意見などはマーケティングにも役立つし、特に専業主婦であったそのキャリアが貴重な意見や斬新なアイデアを生み出すことも多々ある。また、仕事の進め方や段取りも参考になる点が少なくないので、各企業は優秀な専業主婦を戦力化していくことを人材戦略のひとつとして考えてみるのも良いのではないだろうか。
出所:〜ユーキャン2009年「第4回子供のいる専業主婦の意識調査」〜
      http://www.u-can.co.jp/company/news/20090804/release090804.pdf
(庄司 英尚 株式会社アイウェーブ代表取締役、
庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
2009.08.31
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