>  今週のトピックス >  No.1904
修正申告と更正処分
●  税務調査が終了したら
  税務調査の結果、納税者が提出した申告書が適正であれば何もなく終わることがある。税務調査と聞くと、必ず追加で税金をもっていかれると思っていらっしゃる方が多いのだが、顧問税理士がいる場合で帳簿管理も申告納税についても良好と判断されたときは、少額の見解の相違点などは指導で終わることもある。
  一方、税務署が納税者の提出した申告書について指摘事項がある場合、「修正申告書」に応じる方法と「更正処分」を受ける方法がある。
●  修正申告書に応じる
  「修正申告書」は、既に提出した申告書の税額に不足額があったときや欠損金の金額を過大に申告したときに提出する申告書である。顧問税理士がいる大概のケースでは、税務署に納税者と税理士が赴き、指摘された修正内容について話し合い、納税者が納得したときは修正申告に応じることになる。なお、修正申告に応じることは、自ら異議申立てなどの権利を放棄することになり、いったん提出した修正申告書について後日不服が生じたとしても文句は言えない。それゆえに税務署としては、なるべく修正申告に応じるように話を勧めてくる。
●  更正処分を受ける
  一方、「更正処分」とは、納税者が税務署の指摘事項に納得できず修正申告に応じない場合に税務署がとる処分のことである。税務調査が終了してから数カ月後に税務署から「更正通知書」が送られ、それには更正後の金額や税額・追加税額、更正の理由などが記載されている。なお、青色申告については更正の理由がなければ更正できないので、更正の理由はしっかり検討すべきである。白色申告については、更正の理由がなくても推定課税できてしまう。
  そして、税務署長等が行った更正処分について不服があるときは、処分の通知を受けた日の翌日から2カ月以内に「異議申立て」をすることができる。異議申立書を受理した税務署長等は、その処分が正しいかどうか調査・審理し、その結果を「異議決定書謄本」により納税者に通知する。
●  審査請求から訴訟へ
  異議申立てに対する税務署長等の判断に不服がある場合には、異議決定書謄本の送達を受けた日の翌日から1カ月以内に国税不服審判所長に「審査請求」をすることができる。国税不服審判所長は、その処分が正しかったかどうかを調査・審理し、その結果を「裁決書謄本」により納税者に通知する。なお、青色申告書を提出する納税者については、異議申立てをせずに、直接国税不服審判所長に審査請求をすることができる。
  そして、国税不服審判所長の判断になお不服がある場合には、原則として裁決書謄本の送達を受けた日の翌日から6カ月以内に裁判所に提訴することができる。
  納税者には税務調査を受ける「受忍義務」もあるが、税務署の判断に不服がある場合、相手は国だが訴訟まで持ち込める権利も持っていることを知っておいてほしい。
(今村京子 マネーコンシェルジュ税理士法人)
2009.09.07
前のページにもどる
ページトップへ