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1カ月の残業時間は、20時間未満が約半数
●  残業時間は、減少傾向に
  株式会社インテリジェンスが運営する転職サービス「DODA」が行った、残業に関する調査結果が先ごろ公表された。調査対象は、過去1年以内にホワイトカラー系職種の正社員転職を想起した22〜39歳の男女である。
  1カ月の残業時間で最も回答が多かったのは「20時間未満」(「残業なし」を含まない)で36.0%。以下、「20〜40時間未満」(28.3%)、「40〜60時間未満」(15.4%)と続いた。月間の残業時間が20時間に満たない(「残業なし」「20時間未満」)と回答した人が48.1%と約半数にのぼる。
  改正労働基準法が平成22年4月から適用されることもあり、企業の中には残業時間について悩みを抱えているところも多いようである。残業時間については、残業代の支払いの問題も関係することから各企業は注目しているところでもあり、今回のデータは大いに参考になるものであるといえよう。
●  ワーク・ライフ・バランスを推進する動きも残業時間減少への追い風に
  同じ内容での2年前(2007年)の調査結果では、「残業なし」が8.7%、「20時間未満」が33.3%で、20時間に満たないと回答した人は合計42.0%となっており、今回の調査は2年前と比較して6.1ポイント増加する結果となった。
  また、今回調査で80時間以上と回答した人は3.2%で、この2年間で3.7ポイント減少。景気低迷により、残業規制による雇用調整を行った企業が増加していることに加え、近年のワーク・ライフ・バランスを推進する動きも残業時間減少の追い風となっていると考えられる。
  しかしながら雇用調整として希望退職や退職勧奨を行って大幅に人員を減らしたところもあり、そのしわ寄せが残った社員にきており、慢性的な残業をしなければならないケースも水面下で増えてきている。このような社員は、メンタル不調に陥ることも多く、企業側の責任が大きいため早めに対応しなければ命取りになりかねない。残業時間の削減は、今後の企業側の経営戦略として、全社的に考えていかなければならない。
●  営業系の労働時間が長い傾向
  男女別の結果をみると、男性は「20〜40時間未満」が31.7%で最多となったのに対し、女性は「20時間未満」が46.0%で最多となっており、他のデータをみていても全般的に男性のほうが残業時間が長い傾向にある。
  年代別にみると、22〜24歳の若い年齢層で、「残業なし」「20時間未満」の回答比率が高くなっており、同比率が最も低い35〜39歳と比べると、23.3ポイントの差が開いている。社会人3年目ごろから、その仕事の範囲も広がり、残業時間も増えていく傾向にあるといえる。
  職種別にみると、企画・事務系で「残業なし」「20時間未満」の回答率がもっとも高く、59.0%と全体の6割近くを占めている。一方で、40時間以上(「40〜60時間未満」「60〜80時間未満」「80時間以上」)の比較的長時間の回答率を見ると、「営業系」が35.6%で最多。次いで、「IT系エンジニア」(28.3%)、「モノづくり系エンジニア」(25.4%)と続いている。
  これらを踏まえて各企業も自社の状況をあらためてチェックするとともに、36協定に抵触しない働き方にシフトしていく必要がある。営業系は、一般的に残業時間が長くなりがちであるが、労働時間を短縮するためには、今後大胆な働き方の変革を行わなければならないところもあるといえるだろう。
 参考:転職サービス「DODA」調べ ビジネスパーソンの残業時間実態調査
http://www.inte.co.jp/corporate/library/survey/20090915.html
(庄司 英尚 株式会社アイウェーブ代表取締役、
庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
2009.10.19
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