>  今週のトピックス >  No.1945
どこまで増える? 日本の借金
  財務省の発表によると、国債と借入金、政府短期証券を合計した「国の借金」の総額が、今年9月末時点で864兆5,226億円に達したという。当然ながら、過去最大額を更新。10月1日時点での推計人口1億2,756万人で計算した1人あたりの借金は、約678万円。家族4人分で家1軒分に迫る莫大な金額だ。
●  長期債務残高は1990年代以降うなぎのぼりに増加
  財務省のホームページに「我が国の1970年度以降の長期債務残高の推移」という資料がある。前述の国の借金とは少し異なるものの、過去30年間の「国及び地方の長期債務残高」の推移と、GDP(国内総生産)の推移が比較できる。
                     出典:財務省「我が国の1970年度以降の長期債務残高の推移」
  1990年代前半までは、長期債務は増えているものの、経済規模を表す指標のひとつであるGDPも同じペースで増えていた。しかし、90年代半ばからは、GDPはほぼ横ばいで推移。これは経済成長がストップしていたことを意味する。さらに、ここ2年GDPは下降し、マイナスの経済成長となっている。
  一方、長期債務残高は着々と増え続け、1990年に266兆円だったものが、2009年には約3倍の816兆円に達する見込みだ。経済が停滞する時期には、景気対策のための特別な財政支出が行われるので多少の債務増加は仕方ない。しかし、GDPの推移を見る限り、せっかくの緊急財政支出も、経済成長がマイナスにならないように支えるのがせいぜいだったようだ。
●  収入で支出がまかなえない状態
  それでは、国の財政収支はどうなっているだろうか。同じく財務省発表の一般会計歳入歳出予算総表にある、平成20年度予算補正後の数字(決算とは多少差がある)を見てみよう。
  国の財政は、収入合計55.7兆円に対して支出合計88.9兆円。不足額の33.2兆円は、国債の発行など新たな借金で穴埋めしている状態だ。収入の内訳は、(1)税収46.4兆円、(2)その他収入9.3兆円で、支出内訳は、(1)国債費(借金の元利金支払い)19.9兆円、(2)地方交付税交付金等15.7兆円、(3)一般歳出53.3兆円となっている。
  不景気で税収が減る一方、高齢化などで社会保障費が増え、また返済すべき借金は増えているので財政支出はそうそう減らせない。借金が悪いことだとわかってはいるけれど、収入が不足する分は国債発行など新たな借金でまかなうしかない、というのが現状だ。

  マスコミ等では、政府の行政刷新会議による国の事業の存続判定会議「事業仕分け」の様子を伝えている。厳しいやり方に反発もあるようだが、国のお財布にまったく余裕がない今、財政破綻を避けるには、どこかで大ナタを振るう必要があるのではないだろうか。
(山田静江 CFP®)
2009.11.24
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